inazuma

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのinazumaのレビュー・感想・評価

4.2
クローネンバーグの新作を劇場で!
なんたる幸せ!

人類よ、進化を誤るな!!
常に刺激を求め、スマホに釘付けられてしまった新人類。…『ヴィデオドローム』公開当時よりも、さらにさらにディストピアに近づきつつある現実社会に向けた監督の叫び!が、聞こえてきそう。

📼📱📼

人類は進化により"痛みを感じない"体に変容を遂げ、"加速進化症候群"により次々生み出される臓器にタトゥーを施し摘出する公開手術パフォーマンス(なんじゃそりゃ…)が娯楽に。
…80超えても絶好調。ホラーでもミステリーでもない、クローネンバーグという独立したジャンルを作り上げてます。しかし、あまりにも自由かつ哲学的な世界観に振り回されて、案の定、途中ウトウトモードに突入!というわけでもう1回みてみます。

待ってました!ってなるとこはちゃんとおさえられてたような気がします。
「ほれっ!こういうのが観たいんだろ!?」と言わんばかりに出てくる出てくるクローネンバーグ世界の蠢く物体たち。はい!こういうのが観たかったっす!巨大スカラベを裏返したような寝返り自動補正ベッドに、人骨のような嚥下支援椅子、脱出ポッドのような手術台(蛙リモコン付属)、そして腹の中から顔を覗かせる色とりどりの臓器たち。最高でした。

すっかり常連のヴィゴ・モーテンセンは良い老け方してますね。顔が魔道士みたいでカッコよくてとても絵になる。公開手術パフォーマンスに心酔しきって、恍惚とした表情と、なにより目がヤベぇクリステン・スチュワートも危ない女オーラビンビンで最高。

最高といえばパンフレット。買いです!
縦長コンパクトでデザイン良し、クローネンバーグ過去作紹介では作品ごとに"トリビア"も載ってます!
さらに高橋ヨシキならびに名だたるライターたちの濃厚コラムも。先述したクローネンバーグ物体たちのデザイン画もあるよ👏!お腹いっぱいです!

次なる新作(『The Shrouds』!?)の準備も着々だそうで、いつになるか分かりませんがワクワクが止まりません。欲をいうと『ザ・フライ』や『デッドゾーン』のようなド直球エンタメも観たい!
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