inazuma

ソイレント・グリーン デジタル・リマスター版のinazumaのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

この躍動感と絶望感が溢れる素晴らしいジャケットだけで、もう好きだ!!🟩

リチャード・フライシャー監督作品デビューになりましたが余裕で惚れました。
約60本もの作品を世に送り出しているとのことで、作品制覇の道のりは険しい…

やっぱりディストピア映画はこうでなくてはと思わずにいられない。『ブレードランナー』や『AKIRA』のように"カッコいいSF"感ではなく、現実と程近い適度な嫌悪感が前に出ててほしい。
本作は人間を"物"として扱う壊れきった世界の描き方が本当に不快でお見事。女性は"家具"、高齢者は"本"、貧困者は呼称すらなく道端のゴミのような扱い。酷すぎる…
人間で溢れかえったアパートや教会は鬱陶しさ以上に、本当に人間が"物"のように積まれたり、並べ置かれてるのが不快かつカオス。挙げ句の果てにはその場所でドンパチ合戦始める始末。あんたらどういう神経しとんねん!泣
これぞディストピア😱

そして極めつけ、ある工場での一幕。
人間袋がドサドサ捨てられ、ゴトゴト運ばれ、バシャバシャとワケの分からん液体に浸され…そして、毎週火曜日に健康食品として売り出される。怖いを通り越して笑っちゃいました。
人肉食品の流通でいえばジャン=バティスト・レオネッティの『カレ・ブラン』ではファストフードとして売り出されてました🍔…タイトルが"白い四角"という意味で、人間バーガーの箱にも四角のロゴがあったりして、ソイレント・グリーンと繋がる演出がたくさんあり、ディストピア映画の系譜を感じます。また観たくなった。。

そんな、どうしようもないぐらい絶望に満ちた映画ですが、"本"呼ばわりされる主人公の相棒じいちゃん・ソルがなかなかの癒しキャラでホッコリさせらました。牛肉や葉っぱ、さらにはスプーンに僅かについたジャムまでも、"久々の真っ当な食事だ"と言わんばかりに嬉々と味わうところは名シーン。動植物が極めて希少な存在であることをソルの顔面から感じることがてきました。

ディストピア映画は数あれど、今のところ本作がいちばんかも!


📕パンフもとい、ZINEの感想📕
最高かよ!!
表紙に「70年代ディストピア映画が映した暗黒郷 *特集 ソイレント・グリーン」と書かれた、ちょっとお堅い教科書のような印象を見た目から受けます。が、開くと『時計じかけのオレンジ』や『マッドマックス』など凶暴な名作たちの当時の新聞広告がバンバン登場!ソイグリ特集に入ると、公開当時のプレス記事にポスター、名だたる映画ライターたちの濃厚コラムはもちろんのこと、盛りだくさんも盛りだくさんなので、本当に買いです!
ZINEというのは企業などが発行するものでなく個人で有志を募って自由に作成する冊子のようです。作ってくれてありがとうございます!この上ない記念となりました!
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