ビンさん

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのビンさんのレビュー・感想・評価

3.0
なんばパークスシネマにて鑑賞。

カナダからの手紙、ならぬ、カナダからの巨匠の新作が届いたよ。

ここんとこ、目におとなしい映画ばっか撮ってたデイヴィッド・クローネンバーグ、『いじってます』もとい、『イグジステンス』以来の人体変容譚。
やっぱ、クローネンバーグはこうでなくっちゃ。

近未来、人は痛みを感じなくなっていたばかりか、新しい臓器が増えたりするようになっていた。
ってことは、牛みたいに胃が増えたり、十二指腸が十三、十四指腸になったりするわけだ。でもそんな描写はない。
某ヒゲじじいアニメ監督は、すでに舌が二枚に増えてるけどね。

でも、そんなことになったら収集つかなくなるので、政府は変な臓器が増えたら、ちゃんと登録しなさいよ、という取り締まりをしているんだな。

主役のヴィゴ・モーテンセンは、特に臓器がポコポコ増える体質で、パートナーのレア・セドゥと組んで、彼の増えた臓器を摘出する手術をパフォーマンスとして披露する、言うたら夫婦漫才みたいなことをしてたわけだ。

一方、そんな二人に興味を持って近づいてくる、ヤミ臓器量産者を政府に摘発するスパイみたいなことを、裏稼業としていたモーテンセン。
そんな彼のところに、プラスチックを喰って、化け物扱いされた上に、母親に殺害された少年の遺体を、ヴィゴ&レアコンビに解体パフォーマンスせぇへんか、と申し出てくる男が現れて・・・という、ほとんどふつーの思考では着いていけない物語。

臓器が増えるとか、痛みがわからないとか、プラスチックを喰うとか、そこには監督なりのメタファーが込められているんだろうけど、ぶっ飛んだストーリーでまず理解不能ですわ。

でも、こんな映画、クローネンバーグじゃないと描けない唯一無二なものはビシビシ感じる映画。
ただ、過去の映画ほど生理的嫌悪感というのは感じなかったのは、こっちの目が肥えてしまったからなのかな。
それが、本作で言うところの痛みを感じない人々ってことなのかもしれないね。

体中に耳をつけた人とか、妙ちきりんなバイオメカとか、ああいったビジュアルを見ると、「家畜人ヤプー」も実写映画化できるんじゃないか、って思う。
クローネンバーグに撮ってもらいたいな、できれば。

クローネンバーグの盟友、ハワード・ショアのスコアがまたいいんだけど、昨今の嫌な風潮の配信&アナログ盤でのリリースのみでCDなし。

パンフが凝ってます。
1200円するのもわかるくらい、手が込んでます。
別にそこまでしなくても、って思います。

レア・セドゥ好きとしては、彼女のバストトップとアンダーヘアが拝めただけでも、入場料金の価値があったという、そこらのおっさんみたいなことを書いて、ジ・エンド。
ビンさん

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