ビンさん

青春18×2 君へと続く道のビンさんのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
3.0
昨年末の舞台『ジャンヌ・ダルク』の名演もまだ記憶に新しい清原果耶さん出演作がこの時期、立て続けに公開されるのはファンとしても嬉しい。

まずは、『新聞記者』の藤井道人監督による本作が既に公開されている。
藤井監督といえば、清原果耶初主演作『宇宙でいちばん明るい屋根』が初コラボであり、個人的にも監督作を観ている方なので、本作も楽しみにしていた。
正直、清原果耶さんが出演している、という情報以外、本作においてはほとんど前知識も無く。

物語の主人公は台湾人のジミー(シュー・グァンハン)。
若くしてゲーム会社の社長であるヤンエグな彼だったが、会社が大きくなりすぎて、社長を退かねばならぬ状況に。
傷心の彼は18年前の思い出とともに、日本へ一人旅へ。

18年前、ジミーは台南のカラオケ店でバイトしていた。
そこへやってきたのが日本人バックパッカーのアミ(清原果耶)。
財布を無くし困っていたところ「神戸カラオケ」の看板が目に入ったようだ。
店長の承諾により、アミはしばらくカラオケ店で住み込みで働くことになる。
当然、ジミーはアミに一目惚れ。
それなりにデートなんぞもする(一緒に岩井俊二監督の『Love Letter』を観に行ったりもする)のだが、ある日、アミが日本からの電話に激昂しているのを聞くジミー。
どうやら、アミの日本にいる恋人からのものと思い、ショックを受けるジミー。
やがて、アミは日本へ帰国する。
彼女はジミーに、自分の夢が叶ったら、再び逢おうと言い残すのだった。

という思い出を挟みながら、現代のジミーは日本へ。
各地を巡って最終的にアミの故郷である福島を訪れるのだった。
はたしてジミーはアミと再会できるのだろうか。

ってなお話。

何度も書くが、主人公はジミーなんだよな。
彼のアミとの甘酸っぺえ思い出と日本での旅が、夢が叶って夢破れて、ズタボロになった彼自身の自浄効果となるわけだ。

お目当ての清原果耶さんはもう、本作ではまんまマドンナであって、絵心があるのでカラオケ屋の塀に美しい絵を残したりする。
が、ある事情があって、急に帰国してしまうのだが、まぁこのあたりが映画の後半のキモになる。
そのあたりも含めて、タイトルこそ青春云々(どうでもいいが、本作のタイトルの正しい読み方は・・・?)だが、それだけに収まらぬものが本作にはあると感じた。

ネタバレではないが、アミの故郷が福島ということで、ああ、また東北の震災絡みの展開かよ、と思ったが、本作では一切触れてないので、それだけ書いておく。

それと、メインの2人も良いのだが、台南のカラオケ屋の店主を演じた、関西弁が流暢な台湾人俳優?のあの人誰?

概ね印象の良かった作品だが、唯一こちらのテンションが下がるシークエンスがあったのは残念だった。
ただ、ストーリーにはまったく影響のないことなので、脳裏でカットしておけばいいだろう。

それにしても、日本の友好国でもある台湾。
4月に大きな地震があって、連日日本のTVでも報道されていたが、1ヶ月もしないうちにまったく報道しなくなった。
他にも報道するネタが増えたのもわかるけど、そういう現金なところが露呈している日本のマスコミである。
本作とはなんの関係もないことで、ご容赦。
ビンさん

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