娼婦のふりをして殺人犯の家に入り込んだラヒミは、名前を聞かれ「ザーラ」と答える。ラヒミを演じる女優の名前がそこで出てくることに驚く。彼女は2006年にリベンジポルノでセックス動画を流出させられ、禁錮刑と鞭打ち99回の刑を宣告された。その後フランスへ亡命、今もなおパリに暮らしている。ラヒミにザーラがオーバーラップする苦しさ。
人は何かを正しいと信じ込む時、恐ろしい程に残酷になれる。宗教はそのひとつの例に過ぎない。サイードの息子が父の偉業を継ぐように、いつの時代にも必ず盲信による犠牲は出る。それでも抗い続ける人がいるから世の中は少しづつマシになる。