停滞

ノー・シャークの停滞のレビュー・感想・評価

ノー・シャーク(2022年製作の映画)
4.0
基本は2時間モノローグなので英語が得意でない私は字幕を読み続けるわけでしかもそのモノローグがたまに示唆に富んだ雰囲気でエッセイか何かを読んでいる気分だった。しかしこれは紛れもなくサメに食べられるためにビーチを回る女性の物語でもある。

サメに食われて死にたいなんて馬鹿げてると一蹴してしまいそうになるが、ただ単に自殺や希死観念と片付けて否定することもできない。長生きして老体で周りに迷惑かけるくらいなら太く短く生きるのも一つの生き方という論理が通るなら、人生を作品に見立てサメに食われることで有終の美を飾るのも特段馬鹿げたことでもないのではないか、と。

しかしタイトルにあるとおりサメは出てこない(出てこない?)。これが難しい、ただサメに食われて命を落とせばいいわけではなくその死に様の演出まで思い描いている。がゆえにサメに遭遇するのは現実的ではない。現実的ではないことも認識していて途中から彼女のモノローグが空転しだす。大した出来事のない人生を振り返ったらこんな感じだろうか。

p.s. 願わくば英語のリスニングができてひたすらビキニ姿を眺めながらモノローグを聴くという鑑賞をしたかった。
停滞

停滞