若大将オーウェン

希望と絶望 その涙を誰も知らないの若大将オーウェンのレビュー・感想・評価

3.5
3年目のデビューよりは全然面白かった。
今作には前作にはなかったドキュメンタリーの視点があった。それは渡邉美穂の思い(葛藤)と卒業という視点だろう。

また「アイドルについて葛藤しながら考えてみた」という本があるように、中盤はアイドルの構造自体の問題を観客に考えさせられる展開でドキュメンタリーとして優れていると感じた。

この映画を作るためのカメラ自体がアイドルを追い詰めることになっており、(つまりそれはファンが追い詰めていることに他ならない)加藤史帆や小坂菜緒は壊れてしまった様子が映し出されていた。

大人もケアしているはずだし(足りないとは言え)もうやめていいよとみんな思っているはずだが、実際一番やめられたら困るのは運営やファンなのである。

パフォーマンスについて運営側とメンバー側での対立も映し出されるが、伝え方の齟齬もあるのだろう。
とはいえ以前に比べ日向坂と距離が出来た自分はパフォーマンスに関して運営の言いたいことも分からんでもない。

例えば炎天下の甲子園で精一杯やってるから体力うんぬんは違うと言っても(それも分かるが)実際体力があるチーム(アイドル)もあるのだ
(坂道系にアイドルとしてその部分を求めるのは違うような気もする)

でもその要求は彼女たちを追い詰めることに…

このようにただ安全圏で見ていれば良かった前作とは違い、今作は感情が揺さぶられるはずである。それは前作には全くなかったことでした。

本作の白眉は長濱ねるを始めとしたオリジナルメンバーが見守る中での東京ドーム公演「ひらがなけやき」を歌うエモさだろう

ただ最終的にはキャプテン曰く「見せたくない」という2年間の葛藤、苦労を経て夢であった東京ドーム公演を果たすという、よく言えば無難にまとめ、悪く言えばキャプテンがしてほしくないと言っていた安易な物語化という結末になっていた

見終わっても問題は何一つ解決されてないし、またこのようなメンバーが絶望を感じることが続いていってしまうのではと感じた

個人的には熱心に追っていた時からだんだん離れていくまでの時期が、大方グループの浮き沈みとリンクしていてその点は興味深かった。

配信ライブ、メンバーも微妙と思ってたんだなー笑