シャチ状球体

クリスタル殺人事件のシャチ状球体のレビュー・感想・評価

クリスタル殺人事件(1980年製作の映画)
2.7
推理力があり余るあまり、映画館の観客たちにミステリー映画の犯人の推理を披露するミズ・マープル……ただの迷惑客な気もしないでもない。

そして、映画撮影を巡って起こる殺人事件や女優同士の確執。それを近所で又聞きするミズ・マープル。そう、探偵は現場にいないしドラマに関わることもない。
どうしてこんな構成になっているかは分からないけど、『地中海殺人事件』のポアロですら事件関係者の相談に乗ったり近くでスイーツを食べたりしていたのを考えると、他人から話を聞いただけで事件を解決するミズ・マープルはキャラクターとしての魅力に乏しいし、マープルパートと事件パートが完全に切り離されているのもかなり不自然でテンポを損ねている。

肝心の殺人事件は閉鎖空間で起こるわけではなく、映画関係者が日常を過ごす合間に事件が起こるだけ。
真相は優生思想と名誉殺人を正当化するようなもので、アガサ・クリスティ原作映画の中でも最低レベルの出来だった……。
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