TKE

ノック 終末の訪問者のTKEのネタバレレビュー・内容・結末

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

シャマラン監督作品といえば、個人的には謎の設定が先行してそこに後付でストーリーが追加されていくイメージがあるのですが、今作もそんな感じでした。

とある家族の中で犠牲者を決めないと世界が滅ぶ…という「どういうこっちゃ?」という設定のみが公表され、物語の前半部分も「どういうこっちゃ?」で話は進んでいくのですが、段々とその謎設定を信じざるを得ない状況に追い込んでいくのが、シャマラン監督のうまいところだよな…と思いました。

ただ、その設定がどうやら本当らしいぞ!となってからが長いのが毎度の問題な気もします。
原作小説があるらしいので、どこまでそれを再現しているのか気になるところです。


以下、ネタバレあります。

とある森の中、まもなく8歳をむかえる少女ウェンがバッタを捕まえて遊んでいるとレナードと名乗る大柄な男が訪ねてくる。
彼は「君たちの家族に用があってきた」と語り、それに合わせて奇妙な武器を持った男女が集結する。

危険を感じたウェンはゲイである2人の父親エリックとアンドリューがいるキャビンへと逃げ込むが抵抗虚しく侵入され、3人とも拘束されてしまう。

そして、レナード達4人は3人に向かって「君達家族で相談し、1人を犠牲にしないと世界が滅ぶ」と告げるのだった。


当然ながらエリックもアンドリューもウェンも「こいつら何言ってるんだ?」と聞く耳を持ちませんし、見ているこっち側も「こいつら何言ってるんだ?」状態です。
いったい、どうやってその戯れ言を信用させるんだ?と思っていると、なんとレナード達は一緒に来た男1人を殺し始めます。そしてTVをつけると、地震が起き、津波が発生して街を飲み込んでいく!

4人はある瞬間にこのヴィジョンを見ており、何者かに導かれるようにこのキャビンに集結したと語りますが、冷静なアンドリューは前もって知っていた情報と公開される時間に合わせてテレビをつけただけのイカれた宗教団体だと一蹴。

この段階ではそう考えるよな…と思いますが、これが2人、3人と続くと信じざるを得なくなってきます。


途中までは「信じさせておいて実はガチでヤバい奴らが集まっただけでした」というオチもあり得ると思っていましたが、どうやらマジモンの神(名言はしてないけど)が関与しているようで、この展開は同監督作品の「サイン」に近しいものを感じました。

じゃあ、家族の誰かが犠牲になるしかないのか?!となるわけですが、その段階まで見ていると、誰がどのような結末を迎えるのか分かり切ってしまったのが残念。


意外と思えるようなどんでん返しはなく、ただただ不条理な運命に翻弄される7人の人物達という感じで、見終わった後のモヤモヤ感は凄まじいものでした。

この後味の悪さは「ミスト」を彷彿とさせます。


見終わったあとに「凄い面白かったね!」とはならないとは思いますが「後味悪かった映画ベスト10」くらいには入るかもしれません。

最近のコロナ流行等ももしかして…!?と思ってしまうのは毒されすぎでしょうかね。
TKE

TKE