似太郎

喜劇 特出しヒモ天国の似太郎のレビュー・感想・評価

喜劇 特出しヒモ天国(1975年製作の映画)
5.0
巡業ストリッパー達の正しく「生と死と再生の黙示録」を綴った一代傑作。

ストリッパー役の池玲子、芹明香、そしてヒモを演じた山城新伍が社会の底辺で蠢く「悲しき生き物=人間」を活き活きと熱演。大胆不敵なカット割と縦横無尽なカメラワークで78分間一気見させる監督・森崎東の本領が否応なく発揮されている。

全編が下品(と言ったら失礼かも知れないが)なヌードとSEXの連べ打ち。しかしどこか「イヤらしさ」というよりも寧ろ「気高さ」の方が強く感じられる愛すべき人間賛歌となっている。役者の演技と所作が神懸かり的。

ラストで流れる野坂昭如の「黒の舟唄」が実に効果的で、振〜り〜返るな〜ロォ〜♫の歌声がこの非喜劇(いや、怒劇)を象徴付けているかのようで涙を誘う。真にエモーショナルな、と同時にエロチックな猥雑極まりないポルノ。後半の警察とのグチャグチャな乱闘シーンが特に白眉と言える。

訳の分からない、混沌としたエネルギーに満ちた破壊的傑作にして究極の「左派映画」である。単なるコメディと分類するにはあまりにヤバく危険な匂いの立ち込める作品だ。💣💥
似太郎

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