喜劇 特出しヒモ天国の作品情報・感想・評価

「喜劇 特出しヒモ天国」に投稿された感想・評価

ほし

ほしの感想・評価

5.0
開巻から泣き通しなのにどうして自分が泣いてるのかさっぱり分からない。だがこの不明こそ鍵だと思う。いかがわしいほど素晴らしい。芹明香暫定ベスト。
Kuma

Kumaの感想・評価

4.3
とあるストリップ小屋。主人公が借金の取り立てに行ったら、支配人にされた。
警察に目をつけられつつも、明るく営業する、ストリッパーとヒモと周りの人々の悲喜こもごも。

こんなに劇場が笑ってる映画久しぶりかも。大人が全力でアホしてる感じ。
(子供はあんまりわからないと思う)

少しグダグダして物語の方向性が見えないが、いつまでも見てられる。面白い。
耳触りのいい関西弁が心地よい。

キャラがいっぱい出るが、ほぼ賑やかし担当。それが面白い。(人数揃うとバカバカしさアップ!)

コントとは違う。まさに喜劇だった。
ただヒモよりストリッパーの話だった。
ストリップ劇場の支配人を務めることになった元会社員の男(山城新伍)が、踊り子とヒモが織りなす人生模様に取り込まれていく。林征二・著「ヒモ」を原作に取っている、艶笑喜劇映画。(私は本作を鑑賞するために、北海道から都内の名画座まで、足を運んだ経験あり)

社会的底辺部の悲喜交交を取り上げながら、人間讃歌を説いていく系統の作品。愛情と癒しに飢えながらも、性産業に頼らざるを得なくなった人々の「Let it go!(流れに沿って進むしかない!)」が、ユーモア満点に繰り広げられる。

池玲子は姉御肌のイイ女ぶりを遺憾なく発揮、芹明香は素のままにしか見えない酔いどれ演技を披露、川谷拓三は愛憎劇の狂言回しを熱演、下条アトムは養育費を稼ごうとする聾唖者を好演。演者のスキルが最大限まで活かされているのが大きな醍醐味。

ドラマには警視庁とのイタチごっこが盛り込まれており、アイデンティティを守ろうとする芹明香の獅子奮迅ぶりが異彩を放っている。女が威風堂々、男が意志薄弱に描かれているところが森崎東の真骨頂。生きる活力を分け与えてくれる、慈愛に満ち溢れた作品。
痣

痣の感想・評価

-
イカれ坊さんの説法&ファンクのイカれ冒頭シーンとガサ入れのニューシネマ感
nagashing

nagashingの感想・評価

4.0
ストリップ小屋のバックステージもの。「性」を「生」へと敷衍し、劇場内の猥雑さを人の営為の豊かさとして描出する人間讃歌。徹底された無常観が死も誕生も悲しみも喜びもまるごと肯定していく、という時点でだいぶ屈折しているが、これを胡乱で諧謔に満ちた殿山泰司が説くことで、さらに奇妙な真実味がおびてくる。芹明香の自然体で自由奔放な立ち居振る舞い、細腕細足貧乳の東洋の女神感が尊い。世界をありのままに見すえる映画の透徹したまなざしをみごとに体現している。
imapon

imaponの感想・評価

4.8
喧嘩をするにも開張するにも超ハイテンションエネルギーで突っ走る傑作は殿山で始り殿山で終わる!

芹明香が唯一無二ぶりを発揮すれば川谷拓三もまた唯一無二。

雑魚寝の夜、拓ぼんと民夫ちゃんが数え歌のメロに合わせてピストンすれば萌子さんがヒス起こすなんて笑撃も。

歌い出す、踊り出す「黒の舟唄」天才!

池玲子がちょっぴりせつなくて、下條アトムがいい。
京都生まれ京都育ちには堪らない作品でした。

小学校四年生くらいに旅芸人の子供が転校して来て、近所にあった"かまぶろ温泉"を売りにした宿で半年か一年くらいか芝居を打ってました。
ストリップには縁なく一度も潜入した事はないのですが、本作の踊り子の控え室の猥雑な様子を観ていると、放課後に旅芸人小屋に潜り込んで、白塗りや髷の大人に囲まれて遊んでいたのが懐かしく思い出され奇跡的な出会いに感謝。
確かその転校生はお姉ちゃんと弟だったと記憶するのですが、今もどこかで大衆芝居を続けているのだろうか。

さて、本作。
ストリップ小屋の臨時支配人となりやがてストリッパーのヒモとなる山城新伍の美女玉ころがし感、憂いある表情が抜群に美しい池玲子、アル中の行き倒れから売れっ子ストリッパーとなる芹明香の天真爛漫、刑事からヒモへと落ちぶれるいつもの川谷拓三の情けなさ、子作り資金を稼ぐために嫁さんをストリッパーに売り込む聾唖夫婦の下條アトムは母性本能をくすぐる可愛げのある若者ぶりが新鮮。
かように役者陣も見応え充分。

この時代の後も、東寺DXや伏見ミュージックといった京都を代表するストリップ小屋の歴史は続きますが、本作では様々な人間模様で時代の光と影を映し出します。
本願寺系のボンさんの説法も重ね合わせ、新しい生命の誕生とストリップ関係者の凋落で見せるエンディングは、さながらPTAの「ブギーナイツ」のよう。

加齢臭香る満員の劇場で、二本立てもう一本を監督された関本郁夫氏のトークショーを聞きながらレビューをまとめました。
まもなく次の一本始まります。

2018劇場鑑賞46本目

このレビューはネタバレを含みます

「喜劇」とか「天国」とかいうタイトルに騙されてはなりませんぞ。京都の、そして巡業先のストリップ劇場を舞台に、そこに出演する踊り子達と彼女らのヒモ達との悲喜交々、波瀾万丈の人生を描いた人情噺の群像劇で、人の世には楽しいこともエロいことも、辛いことも悲しいこともあるぞという実にイイ話。冒頭いきなり出てくる怪僧 殿山泰司のお説教じゃないけど、「生きててもあの世へ行っても助からん」「生きてる内は地獄じゃぞ」といった重いテーマもある。そもそもこの寺の墓地の隣がストリップ劇場なわけで、インチキ臭い和尚の説教に頷くだけの老婆達と、ピチピチの生気溢れる踊り子を交互に見せたりしてくるのですよ。エロスとタナトス。。。

しかしこれはとってもバイタリティ溢れる映画でもあった。主役(?)の山城新伍はお調子者で憎めなくてカワイイし、ストリップ小屋の女達、花形踊り子ジーン嬢(池玲子)、アル中のローズ嬢(芹明香)、性転換美女サリー嬢(カルーセル麻紀)はとってもたくましいし、老振付師の藤原釜足は「現役」だし、そして一気に人生転落していく川谷拓三はギラギラしてるし、下條アトムと森崎由紀の聾唖夫婦の健気さなど、見どころ満載。




【この後ネタバレ】

山城チョメチョメ新伍であるが、最初、車のセールスマンだったのが、ストリップ小屋の社長に月賦の取り立てに行っている内に無理矢理劇場の支配人にさせられ、いつの間にか花形踊り子ジーン(池玲子)のヒモに。そして、放蕩のあまり彼女に逃げられ、別の踊り子ローズ(芹明香)のマネージャーになる。しかしついにはローズに未練ありまくりの川谷拓三(この人も刑事からローズのヒモ、そんでアル中のストーカーと真っ逆さまに転落)に刺されちゃうという、まさに波瀾万丈の生き様。なんとか一命を取り留め入院中の新伍をジーンが見舞うんだけど、その時のジーンの思いも新伍には届かず結局女心が分からないダメな男のもとをジーンは去って行くのだ。(これはそのまま実際の山城新伍の哀れな晩年にも重なるわけですな・・・。)

山城新伍がカワイイと言われてもピンとこない人も多いことだろうが、この写真の池玲子とのシーンの「なんで?」というセリフなんて、こりゃあ女は放っとかないやというカワイサ炸裂。そんでもってズルイのである。
この人、去年見た「瀬戸はよいとこ 花嫁観光船」でも、最初は真面目で一途な青年→次第にお調子者のスケベ野郎の本性を顕すというキャラだったのだが、本人がまさにそんな感じだったんだろうなと思われる。
そして、ローズちゃんこと芹明香の体当たり演技も凄かった。終始酒浸りでいつ死んじゃうかとハラハラさせる危うさながら、逆に最も生命力強そうなキーパーソンである。最後、一斉手入れで護送される京都の町中を睨み付けるその面構えよ!

冒頭の寺とストリップの対比も面白かったが、劇場の楽屋の蛸部屋で、踊り子達とそれぞれのヒモ達が寝泊まりしてるっていうシステムも興味深かい。そんで、ある一組が「行為」に及ぶとそれが伝染し、しまいには全員が緩やかなピストン運動の波を起こすという、奇跡的な名シーンも見逃せなかった。
ちなみに、タイトルの「特出し」とは、ストリップ嬢が局部をお客さんに見せちゃうことで「御開帳」とも言う。そんでさらにちなみに、後半のテーマ曲のように歌われる「♪男と女の間には、深くて暗い河がある・・・」は、野坂昭如や加藤登紀子らが歌った「黒の舟唄」という曲である。
お坊さんの説法と、元刑事のヒモ男が怒って床に投げつけたサイダー瓶が跳ね返って自分のスネに当たり、そのスネを抱えながら芹明香にチューリップ見せられるシーンが好き。
池玲子の切ないパートが実はそんなに中身もないんやけど作品を正すような魅力があって良かった。
池玲子がどのスケバン映画よりも生き生きとした演技をしている。それまでも片鱗が見えていた母性、菩薩様かと拝みたくなるような海のような大きさが爆発。一所懸命な人を讃える人間賛歌のようでありながら、死ぬときは死ぬし堕ちるときは堕ちる。その無常感がすごい。