喜劇 特出しヒモ天国の作品情報・感想・評価

「喜劇 特出しヒモ天国」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

「喜劇」とか「天国」とかいうタイトルに騙されてはなりませんぞ。京都の、そして巡業先のストリップ劇場を舞台に、そこに出演する踊り子達と彼女らのヒモ達との悲喜交々、波瀾万丈の人生を描いた人情噺の群像劇で、人の世には楽しいこともエロいことも、辛いことも悲しいこともあるぞという実にイイ話。冒頭いきなり出てくる怪僧 殿山泰司のお説教じゃないけど、「生きててもあの世へ行っても助からん」「生きてる内は地獄じゃぞ」といった重いテーマもある。そもそもこの寺の墓地の隣がストリップ劇場なわけで、インチキ臭い和尚の説教に頷くだけの老婆達と、ピチピチの生気溢れる踊り子を交互に見せたりしてくるのですよ。エロスとタナトス。。。

しかしこれはとってもバイタリティ溢れる映画でもあった。主役(?)の山城新伍はお調子者で憎めなくてカワイイし、ストリップ小屋の女達、花形踊り子ジーン嬢(池玲子)、アル中のローズ嬢(芹明香)、性転換美女サリー嬢(カルーセル麻紀)はとってもたくましいし、老振付師の藤原釜足は「現役」だし、そして一気に人生転落していく川谷拓三はギラギラしてるし、下條アトムと森崎由紀の聾唖夫婦の健気さなど、見どころ満載。




【この後ネタバレ】

山城チョメチョメ新伍であるが、最初、車のセールスマンだったのが、ストリップ小屋の社長に月賦の取り立てに行っている内に無理矢理劇場の支配人にさせられ、いつの間にか花形踊り子ジーン(池玲子)のヒモに。そして、放蕩のあまり彼女に逃げられ、別の踊り子ローズ(芹明香)のマネージャーになる。しかしついにはローズに未練ありまくりの川谷拓三(この人も刑事からローズのヒモ、そんでアル中のストーカーと真っ逆さまに転落)に刺されちゃうという、まさに波瀾万丈の生き様。なんとか一命を取り留め入院中の新伍をジーンが見舞うんだけど、その時のジーンの思いも新伍には届かず結局女心が分からないダメな男のもとをジーンは去って行くのだ。(これはそのまま実際の山城新伍の哀れな晩年にも重なるわけですな・・・。)

山城新伍がカワイイと言われてもピンとこない人も多いことだろうが、この写真の池玲子とのシーンの「なんで?」というセリフなんて、こりゃあ女は放っとかないやというカワイサ炸裂。そんでもってズルイのである。
この人、去年見た「瀬戸はよいとこ 花嫁観光船」でも、最初は真面目で一途な青年→次第にお調子者のスケベ野郎の本性を顕すというキャラだったのだが、本人がまさにそんな感じだったんだろうなと思われる。
そして、ローズちゃんこと芹明香の体当たり演技も凄かった。終始酒浸りでいつ死んじゃうかとハラハラさせる危うさながら、逆に最も生命力強そうなキーパーソンである。最後、一斉手入れで護送される京都の町中を睨み付けるその面構えよ!

冒頭の寺とストリップの対比も面白かったが、劇場の楽屋の蛸部屋で、踊り子達とそれぞれのヒモ達が寝泊まりしてるっていうシステムも興味深かい。そんで、ある一組が「行為」に及ぶとそれが伝染し、しまいには全員が緩やかなピストン運動の波を起こすという、奇跡的な名シーンも見逃せなかった。
ちなみに、タイトルの「特出し」とは、ストリップ嬢が局部をお客さんに見せちゃうことで「御開帳」とも言う。そんでさらにちなみに、後半のテーマ曲のように歌われる「♪男と女の間には、深くて暗い河がある・・・」は、野坂昭如や加藤登紀子らが歌った「黒の舟唄」という曲である。
Nishmarra

Nishmarraの感想・評価

4.2
お坊さんの説法と、元刑事のヒモ男が怒って床に投げつけたサイダー瓶が跳ね返って自分のスネに当たり、そのスネを抱えながら芹明香にチューリップ見せられるシーンが好き。
池玲子の切ないパートが実はそんなに中身もないんやけど作品を正すような魅力があって良かった。
池玲子がどのスケバン映画よりも生き生きとした演技をしている。それまでも片鱗が見えていた母性、菩薩様かと拝みたくなるような海のような大きさが爆発。一所懸命な人を讃える人間賛歌のようでありながら、死ぬときは死ぬし堕ちるときは堕ちる。その無常感がすごい。
普通ストリッパーは動きまくるので池令子の様な体型の女はいないし、いても段々痩せていくものだけど、それを感じないぐらい似合っている。池令子に演じられない水商売は無い。
豊満な肉体に男を沈み込めるような山城新吾との濡れ場は母性120%。
山城新吾が足でブラをつまみあげたことで我慢の緒が切れるってとこが生々しい。

後半のヒロインはほぼ芹明香。
※アル中という設定だがシャブ中の演技とほぼ差は無い
葬式では『黒の舟唄』に乗せてストリップを始め、灯籠流しの中を全裸で泳ぎ、骨壺を漬物器にしようとする…
特に“死”に関連する場面でことさら過激、かつ淫乱に振る舞っては“生”を発揮していた。
“聖なる淫売”とでもいうか、ただのキ○ガイ行動なのに、全てのシーンが印象的でなぜか泣けてくる。

特に好きな場面は葬式ストリップのシーン。
ローアングルのせいか、芹明香の生をかぶりつきで観ているような気でいた。
oekoju

oekojuの感想・評価

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ストリッパーとそのヒモ(自称マネージャー)たちの悲喜こもごも。
すっぽんぽんになっちゃえば生の人間がにぶーく光る。
丸裸の魂がミラーボールにあたって時に滑稽に時に痛々しく乱反射する。

中古車ディーラー(?)→ストリップ小屋支配人→ヒモ→アル中のヒモ
という山城新伍のローリングストーンぶりもすごいけど、
刑事→ニート→アル中のヒモ→アル中→傷害犯
という川谷拓三パイセンの華麗なる転身には脱帽。

だらしなくぶらさがる男どもを尻目に堂々とステージに立つ女たち。
池玲子も芹明香も男だがカルーセル麻紀もライトを浴びずとも光ってる。
ラストの目力に男はなすすべなし。

釜足夫婦と聾唖夫婦のひたむきさが妙にしみた。
黒の舟唄と殿山住職の無情な説法が耳に残る。
パンツの裂け目から警察手帳が見える演出はグレイトかつクレイジー。
ステージの上を、その他の場所とは一線を画する特別な空間として撮れているし、楽屋での悲喜こもごもはありつつも、踊ることに誇りを持っている女たちに魅かれる。こういうの大好き。
拓ぼんがチャブ台どころか屋台をひっくり返すシーンで笑い、池玲子と聾唖の踊り子が聞こえない音楽を掴もうとするダンス練習シーンで泣いた。たかがストリップにされど汗と涙を流して人生を賭ける男と女。雑然とした構成だけど嫌いになれないよ。役者はお局の絵沢萌子がやっぱり上手くて、大ベテランの鎌足が心配する程身を削る。@神保町シアター
Ryoko

Ryokoの感想・評価

4.5
お墓の隣にある京都のストリップ小屋を取り巻く人々の群像喜劇。
もうね、殿山泰司の説法から始まり、猥雑でエネルギッシュで濃ゆくてクラクラするぜ!
『㊙︎色情めす市場』でしか、わたしは観たことなかった芹明香嬢が自由すぎるアル中のストリッパー役で、ぶっ飛んでて最高!どん兵衛コンビの山城新伍と川谷拓三も若くてめちゃくちゃいい味出してる!
哀しみも可笑しみも圧倒的にパワフルで人生てんこ盛り!人間みないつかは死ぬ!あーお腹いっぱい!
この、一週間後はもう同じ人たちがいるとは限らない、という世界が良い。
オープニングで瞬殺された。
『㊙︎色情めす市場』以来の芹明香。怪演という言葉がぴったりで、出演作たくさん見たいと思った。
kkiyoto

kkiyotoの感想・評価

5.0
都内で上映があればことあるごとに駆けつける生涯ベスト級の1本
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