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アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場 オリジナル・ディレクターズ・カット版のefnのレビュー・感想・評価

3.8
 真っ当な反戦映画。敵よりも味方の犠牲者に注目し、それを産み出す将校をひたすら悪として撮っている。
 孤立した部隊に奇襲を命じる将校、兵士の生存率を優先して上官に歯向かう古参不良軍人(おそらく原型は戦争のはらわた)。敗走しする隊に銃を突きつける将校と彼が戦車に轢き殺される場面など反戦映画一本道の日本でも撮れないだろう。(稼働状態のT34/85もない)
 戦闘場面も撃たれるソ連兵よりフィンランド側の犠牲者を強調する。銃口の先を撮らずにそのまま回り込んで撃つ兵士に焦点を当て続けるのは反戦意識からきたスペクタクルの回避だろうか。(撃つ快楽、弾を当てる快感が巧みに回避されている)
 泥酔した昇降との触れ合いやロシア人住民/捕虜をカリンカでもてなすあたりも汝の敵を愛せ精神を感じさせる。
 真っ当な軍隊ではありえない命令不服や敵の殺傷を極力控えた画面がかなり作為を感じさせるのであまり好きではない映画だった。が、フィンランドは愛国教育が行き届いた国という印象があったので、こういった作品を産み出す土壌や自由があるとは思わなかった。それを覆したという意味では興味深い。
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