紅梅シュプレヒコール

呪詛の紅梅シュプレヒコールのレビュー・感想・評価

呪詛(2022年製作の映画)
3.7
台湾で最恐と謳われ、大ヒットを記録したホラー映画「呪詛」をホラー苦手ながらもミーハー心が疼いたため渋々鑑賞

フェイクドキュメンタリーのスタイルで描かれるホラー作品というのは現実と虚構の境目を薄くすることで鑑賞者に出来事を体験させる

この様式を用いた作品の多くと同じく、今作は怖いというよりも不安や不快感を与えてくる嫌らしい作品になっていた

物語自体は呪われている母子が四苦八苦する様を見せられるだけとなっており、意外な展開に発展していくようなスリルに伴う物語的な楽しさは無かった

主人公が呪われた原因も自業自得なので、同情心もイマイチ湧かなかった(個人的には「呪怨」や「残穢」が持つ理不尽な呪いが1番怖いと思っている)

ただ、今作で良かったと思ったのはホラー演出にだけ頼らずに、しっかりと親子愛というテーマを組み込んで物語を構築している点

近しい作品の「コンジアム」には、このテーマ性が欠けていたために長尺のホラー映像に収まってしまったことを考えると、今作はちゃんと映画として仕上がっていたのではないだろうか

わざわざ人に勧めはしないが、気になっているのなら観てみて欲しいとは思う一作