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ウィキッド ふたりの魔女のねむのレビュー・感想・評価

ウィキッド ふたりの魔女(2024年製作の映画)
4.0
以前から四季でたびたび上演してるのは知ってたし、「オズの魔法使い」の話も知ってるものの、これ自体の内容はよく知らないまま鑑賞。

ポスターやプロモーションの段階からピンクと緑を対比させたビジュアルが美しく春らしい。日本では桜餅のような色だし、「鬼滅の刃」の蜜璃ちゃんのカラーも連想する。ただし、以前に「グリーンナイト」のレビューでも触れたように、欧米では緑は死の色、邪悪と人外を象徴する不吉な色とされることが多い(そもそもの理由は不明)。
そんな緑の肌と誰よりも強い魔力を持って生まれたエルファバと、スクールカーストのトップに君臨するお嬢様グリンダが友情をはぐくみ、やがて互いに独り立ちするまでを描いて、第一部・完。
ディズニーランドのようにカラフルでキラキラした世界で展開する人間関係は、意外とエグい。実は強い力を秘めているのに差別され、我慢を強いられる地味なエルファバは応援したくなるキャラで、そんな彼女が「おもしれー女」として王子を魅了する展開も少女漫画の王道的。
傍から見るとかなり痛い女の子であるグリンダだけど、アリアナ・グランデの歌唱力と妖精のような容姿、可愛らしいピンクの衣装で、ギリキュートに思える。ただ、エルファバに比べるとグリンダの内面描写は薄い。はるかに優秀でボーイフレンドの心も奪っている親友に対して、複雑な思いはあるはずだけど、その辺は第二部で描かれるんだろうか?

最後に「西の魔女」の完全体として覚醒し、高らかに歌い空を舞うエルファバの勇姿はまさに前日談のヴィラン誕生ストーリーだけど、そこに闇落ちはなく、抑圧された女性の解放という爽快感が満ちている。「WITCH」とかX-MENのジーン・グレイとかMCUのスカーレットウィッチとか、魔女という形を借りて女性の力の解放を描く映画ってあるけど、この映画は「西の魔女は死ぬ」という結末を先に提示している分、直接に破滅的なラストにはならなそう。
王子役は見たことあると思ったら「ブリジャートン家」の長男くんだった。歌もダンスも上手で、さすが英国俳優さん手堅い…
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