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プアン/友だちと呼ばせてのtorumanのレビュー・感想・評価

プアン/友だちと呼ばせて(2021年製作の映画)
3.9
『バッドジーニアス 危険な天才たち』を大ヒットさせたナタウット・プーンピリヤ監督と、ウォン・カーウァイがタッグをくんだロードムービーです。
監督の自伝的作品でもあります。

ニューヨークでバーを経営するボスの元に、バンコクに住む友人ウードから連絡が入る。
白血病で余命が無く、中途半端な別れ方をした元カノ達にちゃんと別れの挨拶をしたいという。
ボスとウードで彼女達の元へ向かう旅を始める。さらにウードには秘密があって…。

前半の元カノ達に会う爽やかで独特の道中から、後半のウードとボスともう1人の登場人物との秘密の話となりますが、その構成が秀逸です。
冒頭から度々出てくるスマホから登録者を削除していく演出が、後半に向けての新たな展開を予感させます。

前半は、
冒頭からセンスのよいお洒落な映像でぐっと引き込まれます。
登場人物によって照明の色を変えたり、映画的でいい感じです。
また、現在の場面にすっと挿入される過去の映像や空想の映像が良いアクセントになっており、物語をノスタルジーとユーモアに包んで楽しく軽やかにしています。

後半は
内容には触れませんが、私はこちらの物語と登場人物の心情に引き込まれました。
物語の優しいたたみ方も好きです。
ラストは『恋する惑星』を思い出しました。

監督のパーソナルな部分が作品に反映されています。
白血病の友人ロイドさんの助言もあったとの事。
監督自身もバー経営しています。
元カノのエピソードも監督本人の実際のエピソードらしいです😅

音楽の使い方のセンスの良さ
アジアンポップのレトロナンバーも良いですが、自分の中では、ローリング・ストーンズの「TIME IS ON MY SIDE」が響きました。
カセットテープの使い方等、小道具のセンスの良さなど、観れば観るほど新しい発見が生まれそうな作品です。

劇場館数は少ないですが、お近くで上映の折には是非ご鑑賞下さい。お薦めです!
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