SPNminaco

プアン/友だちと呼ばせてのSPNminacoのレビュー・感想・評価

プアン/友だちと呼ばせて(2021年製作の映画)
-
刹那の享楽に逃げるバーテンダーのボス、病身のウード。ラジオDJだった亡き父の声と、男2人の後悔を乗せて車は進む。
初めから別れた元カノを訪ねる動機と目的がはっきりしてるので、ロードムービーとしては直線的で単調だ。その分、やたら回想シーンが多くて、小洒落たNYを舞台にした過去パートが陳腐でクドかった。何人いるんだよ。2人とも大概自分勝手で酷いことしてるし、甘い感傷に浸りすぎ。
旅はずいぶん遠回りしてやっと本命に辿り着く。お互いに傷つけ傷つけられてきた過ちと後悔はA面からB面へ。ゴールはボスとウードがもう一度再生すること、そのために始めまでテープを巻き戻さなきゃなかったのだ。
カセットテープだし、80年代くらいのアメリカ青春映画っぽい。呑気に運転手するボスとシリアスなウードのコンビは、どことなく『グリーンブック』に似てなくもない。10年前と痛々しくやつれた現在のウード演じるアイス・ナッタラットが、とても雰囲気あって良かった。『バッド・ジーニアス』のチュティモン・ジョンジャルーンスックジンが元カノの一人で出てたのも嬉しい。
でも所詮、男主観の恋バナで女性がみんな都合よく美化されたキャラクターなんだよなあ。ウォン・カーウァイが製作について、たぶん予算増えてNYパート(実際のロケはそう多くなさそう)に欲を出したのか、バズ・プーンピリヤ監督は『バッド・ジーニアス』ほどの切れ味がなかった。カクテルは美味そうだったけど。
SPNminaco

SPNminaco