磯野マグロ

彼女たちの話の磯野マグロのレビュー・感想・評価

彼女たちの話(2022年製作の映画)
3.7
【インディーズ感】143

就活中のチカと中学生の妹ミクは、女性であることからくる生きづらさや社会からの扱いの差に疑問を持ち、彼女たちなりのやり方で向き合おうとする。映画が後半になり、本人たちも見ているほうも、どうもそれがあまりうまくいってない、から回ってるよねという気分になっていたときだったから、チカが友達に呼びだされ、かけられた言葉は沁みた。うん。よかったよね、いちばん身近な人たちにちゃんと届いていたんだね、と思ってちょっと泣いた。
ミクはちっちゃくってほっぺたなんかプクプクしてて、まだまだ子どもなんだけど、それだけにあまりにも無防備で(というか無防備に見えるような撮り方で)、護身術なんか始めるから余計にこわくて、これでもしなんかあったら(よくあるじゃないですかそういうフラグの立て方って)、もう立ち直れないなおれが、と思って見てた。結果として何もなくてよかった。
そしてそれは、自分がそういう目で見ているのだろうか、と後から思って、女性はずっとその手の気持ち悪さ怖さと隣り合わせながら生きているんだろうと思いいたると、ぞっとする話だ。これが男の腹の中なんだよね。外に出すか出さないかの違いはあっても結局。
もう1人姉妹がいて、かなり世馴れた感じなので、途中まで、若く見えるけどもしかしたら母親なのか?とも思っていたりして、なかなかにうまくない、わかりにくい映画だ。でも、ストーリーが「テーマ」や「言いたいこと」に過度に振り回されてない分、「3653の旅」より見やすかった。
磯野マグロ

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