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ザ・バンク 堕ちた巨像のotomisanのレビュー・感想・評価

ザ・バンク 堕ちた巨像(2009年製作の映画)
3.9
 事情は正反対らしいが、実はG美術館を使いたくて撮ったんじゃないか?という珍作。それだけでない、ミラノのピレリタワーの近況、イスタンブールのスークの屋根の上やカルビーニ防衛産業のザハ建築(どこに建ってるか探してみよう)だのデコレーションの面白さが楽しい。誰が金を出したのかICPOのピカピカ本部にも目を奪われよう。案外この事の方がおもしろいかも。しかし、きれいな薔薇には棘がある。
 元の取れない仕事に誰が金を注ぎ込むだろう。でも共産ゲリラを掃討する戦費なんだけどダイヤの鉱山への出資だとか偽って実はCIAがコッソリ送金とか... こんな時の御用命はIBBCが承ります。というわけで、訳ありな金を動かすならIBBC、できない調達も融資も担保次第でIBBC、悪い事なら金になる錬金術師IBBCに探りを入れるなら命を三つは掛けないと。日本の銀行のみんなの預金で大きくなりましたな感じ、不動産以外にテクの持ち合わせがなさ気な感じからは想像できない銀行の本来の働きが知れる凄みのある話だ。
 そして、ワケあり銀行捜査には過去のある正義漢なら、ワケあり銀行にも止むに止まれず求められる世界の裏事情があってというわけだ。ついでにワケあり銀行の舵取りにも正義と信じて裏事情通に身を投じ遂にはワケ銀で不正義に絡めとられた人生もある。007みたいな悪の元締めの私腹を肥やそうなんて能天気な事でないと示しつつ、G美術館の大立ち回りに湧かせてくれるのは大盤振る舞い大変結構だが、ああもオープンでは国際政治の舞台裏ものとしては格を下げた感じだし、最後に仮面を外したイタリア黒社会の使いがとどめを刺す件、妙においしい所を持ってたなーと悪い意味で感心してしまった。
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