Chancoist

ファンタスティック・プラネットのChancoistのレビュー・感想・評価

3.7
最初のシーンから落ち着かない感情になる。
その後、こちらを試すような不愉快なシーンが続く。
不愉快に感じる理由は、自分が害虫、又は愛玩動物として扱われているように感じるから。
そして、それは実際に現に我々が動物や害虫にしていることと同じであることに気付かされ、そのグロテクスさに慄く。

自分の幼少期のことを思い出す。庭を這うアリの行列を見つけて、潰し、体をもぎ取り、前に進む列を塞ぎ、水をかけ、それはまさにこの映画の冒頭で見せつけられたことである。
ジタバタしていたアリが動かなくなって、「死んじゃった」と言う。

わたしたちのペットの可愛がり方はどうだ。それが人間が愛玩動物として扱われる様子を見た途端に不愉快な気持ちに襲われる。

映画を見て感じた不快感が自分に突きつけられる。
居心地の悪い世界の表現がすべてが、わたしたちに、わたしたち自身のグロテクスさを自覚させようとしているように感じる。

世界平和や動物愛護を訴える作品という論評を見かけた。
そんなものは全く感じなかった。

この世界で描かれた居心地の悪さは、まさにわたしたちがこの世界で無意識に作ってきた生活の姿と、人がいかに不愉快な生き物であるかを、それを描いた作品だった。
Chancoist

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