サトタカ

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリームのサトタカのレビュー・感想・評価

4.2
映画館に観に行ったのに、ちゃんと感想を書こうと思っていたら、すっかり忘れていたので、今ごろ。
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45年来のファンなので、あえて「デヴィッド・ボウイ」を悪く書いてみる。

彼は自己顕示欲が強い芸術家気取りのナルシストで、炎上系YouTuberみたいな手段を選ばないモラルの低いタイプで、ナチス礼賛をしたレイシスト(後に転向)でもある。そして筋金入りのジャンキー(後にクリーン)。

あまり書けなかった。一方、よい方はたくさんある。

作詞、作曲、歌の才能は折り紙つき、12弦ギター、ハーモニカ、サックス、キーボード演奏がうまく、プロデュースもでき、ファッションセンスも超一流。誰も思いつかないことを先んじて行えるカリスマでありリーダー。演技も得意で、映画に主演したり、ブロードウェイでエレファントマンの舞台をしたり、多芸多才。事故死したマーク・ボランの妻や子どもに資金援助。解散寸前のモット・ザ・フープルに「オール・ザ・ヤング・デューズ」を楽曲提供しヒットさせる、ソロになって行き詰まっていたルー・リードをミック・ロンソンと共同プロデュースして「トランスフォーマー」を当てさせる。イギー・ポップに「チャイナガール」をカバーさせたり、無名だったスティービー・レイ・ヴォーンを「レッツ・ダンス」でメジャーにしたり…日本人としては日本好きなところもなんだか嬉しくなっちゃうのよね(チョロい)。

【劇中の名セリフ】
「ひとつ言わせてほしい。すべての人々が、たとえどんな人であってもみんなが人生にもっと感謝したいと望んでいる。人生であなたが何をするのか、それが重要だ。あなたにどれだけの時間が残っているかとか、何をしたかったのか、じゃなくてね」
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【すばらしかった最後のセリフ】
「えっと、わかりますかね?これは信じられないほどの喜びでした。そしてあなたは本当に興味深い人でした。私は、あなた自身のことについて、ぜんぜん知りませんでした。あなたに会えてよかった。ついにようやく会えましたね。そして私に言えるのはこれだけ。
さようなら、さようなら。またいつかどこかで会いましょう〜。ファル・タ・タ、タ・タ・タ・タ、ジャジャン」
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せっかく公式の映画なんだから、楽曲はあまり途中で切らないでもう少し聴かせて欲しかった。
あと、10年の沈黙を破って出したアルバム、「ザ・ネクスト・デイ」から「ブラックスター」という、自分自身の死をモチーフにしたかのような鬼気迫る2作品が触れられなかったのも残念。とはいえ、劇場の大画面、音響で楽しめただけありがたかった。
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