RYUYA

窓辺にてのRYUYAのレビュー・感想・評価

窓辺にて(2022年製作の映画)
4.0
こんなにも稲垣吾郎なことがあっていいのかというくらい、稲垣吾郎だった。というのも私は、いまだにたまに「SMAP 再結成」とネット検索し奇跡を諦めていないほどのSMAPファン。新しい地図の3人がABEMAでやってる月1の番組も必ずチェックするし、木村・中居も常に追ってて、過去映像もどんどん掘ってる。稲垣吾郎。吾郎さん。勝手ながらイメージを言わせていただくと、知的で上品、ワインと映画、読書やお花やフィルムカメラが好きで、モノトーンを好み、意外と短気でせっかちな...くせっ毛の中間管理職。ワインがブラックコーヒーに変わってたくらいで、あとは劇中の市川という人物像と丸々重なる。せっかちでもなくなってるか。吾郎さんを象徴する私の好きなエピソードが「朝ランニングで遠くまで走るけど、疲れたらタクシーで帰る」なんだけど、市川、マジでそんな感じだもんな。「妻の浮気を知っても怒りが湧かなかったことを内省する夫」役なのに、吾郎さん(未婚)がやる説得力が、なぜかズバ抜けてるのよね。すごいと思う。

解散以降の個々の主演作を観ていて思うが、SMAPはやはり、ひとつの劇団としても強すぎる。その中で、唯一助演で輝けて、一般人的な役まで降りられるのが稲垣吾郎の役者としての魅力だと思う。今作でも主演でありながら、かなり控えめで受け身な役回りで、どこか助演的。魅力爆発である。

今泉監督。このペースでオリジナル脚本を生み出し続けるのもすごいが、クオリティも良いのよね。「僕はずっと恋愛映画を作る」というブレない作家性もかっこいい。ツイッターが多いのは気になるけど。でもこの監督が映画監督としてすげぇと思うのは、会話劇に入る前にそのシチュエーションの外観とか入れないとこ。喫茶店で会話するにも、普通だったら「こういう場所ですよ」の説明的な引きのカットが入るけど、一切なし。観た人なら分かると思うが、あのカフェもあのラブホも、主人公夫妻の家の形すらも私たちはよく知らない。私たちはもうそこにいて、彼らの会話を、自分もそこにいるように聞いている。この効果・演出は抜群だったと思う。次作も期待。
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