DJあおやま

窓辺にてのDJあおやまのレビュー・感想・評価

窓辺にて(2022年製作の映画)
3.8
今泉力哉監督のティーチイン付き上映にて鑑賞。今泉力哉×稲垣吾郎という一見異色な組み合わせだけど、それぞれの個性が見事に混ざり合っていた。
吾郎ちゃんの当て書きとあって、キャラクターがこの上なくぴったり。書かなくなってしまった小説家で現在はフリーの物書き。妻の浮気に怒りを感じなかったことがショックだったという設定まで良い。喫茶店の窓辺で差し込む光に当たる姿は美しく、パチンコやラブホテルのシーンの歪さも愛おしい。年下の知人夫婦に相談して、奥さんから説教されてしまう情けなさも。自分をつまらない人間と卑下し、能動的に行動することは少ない。高校生作家との交流を通じて、内面の変化はありつつも成長は描かれず、結末も緩やかに迎える。自分の内面に向き合い、自ら行動し、何か答えを見つけることのできる人が主人公である必要はなく、感情が乏しく、なかなか行動できず、解決できない人もいる。そういった人も主人公たり得るという生きづらさを抱える人間の肯定に救われる。
若葉竜也と穂志もえかが、『街の上で』とは違った関係性なのもニヤリ。スカートのテーマソングはイントロからずっと素晴らしい。
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