このレビューはネタバレを含みます
感情が乏しいことや変化に無頓着になる主人公(茂巳)と周りの人間との関係を描いて作品
今泉監督独特の会話劇は本作でも随所に見られるけど その中でも
『君は他人を見下しているから誰にも相談できないんだよ』
っていう作中の台詞とそれを受けての 茂巳の反応が特に印象的だった
茂巳の周りの人間が ある種の説教めいた様子で 彼の人間性について断定するものの
茂巳自身は そのどの言葉にもピンとくるものがなくて ただただ自分の心の動きやその原因が分からず 悩んている様子に見えてしまって。。
自分の感情を捉えることすら難しいのに 他人に人間性を語られても それに納得することはないけど
適当に肯定しつつも 相手のペースに合わせなきゃいけないっていう
社会の生きづらさがところどころに現れて ヒトの深層心理をとても丁寧に描いていると感じた
生きていく中で 少しづつ周りの人間との関係性が希薄になることは避けられなくても
『手放すこと』で 再び自分自身を見つめて周りとの関係を再認識できるっていう考えは 凄く心に響くいた