ホーガン

ザ・ミソジニーのホーガンのレビュー・感想・評価

ザ・ミソジニー(2022年製作の映画)
3.6
すべては神秘に始まり政治に終わる。

一筋縄では理解出来ない高橋洋監督作品の新作。最初に見たときは全く理解出来なかったが、前半のデモニックな薄気味の悪さ、木陰に何か見えそうな雰囲気は十分に感じられた。後半、急に魔術大戦になってしまって爆笑、結局、何?ってなる怪作。恐怖は髪の長い白いドレスを着た幽霊だけでは無いということをアグレッシブに描く。中原翔子と河野知美の熱演がドラマを引っ張っている。これを見るとビジネスホラー(主演にアイドル枠があってファンや子供向けに制作されたJホラー)とは違うなぁと思う。

序盤の古い女性やその死体写真、ファシストがどうのという話は「霊的ボルシェヴィキ」からの流れで、高橋洋が好きな政治と心霊の関係、さらにミソジニー(女性蔑視)が絡んで複雑に見える。

私の解釈だと、劇作家のナオミは、自分の夫を略奪したミズキを精神的に追い詰めるために創作した脚本で芝居の稽古を行い、ミズキを苦しめる話だが、その脚本は「すべては神秘に始まり政治に終わる」という劇中の言葉どおり、魔術大戦のような極端なエンタメ(政治)に終わる。全てはナオミの妄想という筋も政治であろう。

昨今の子供向けビジネスホラーと対極を成す作品で、ビジネスホラーばかりでこういう作品も無いとJホラーは衰退するなぁと思わせる。そういう意味では貴重な作品であり、貴重な監督ではある。
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