れいん

ザ・メニューのれいんのレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
4.5
映画館で映画を観たくてどうしようもなくなって選びました。
ブランチの王様で紹介していて、なんとなくのあらすじは分かっていましたが、あの番組の紹介されたものって当たり外れがすごく大きい!どうなのかな~?って恐々観ましたが、最高でした。
主人公の女の子が手放しに美人!ってわけじゃないのに、個性的でとても目を引く。まずはそこから。
孤島のレストランなんて絶対になにか起こるとしか思えない。楽しそうな呑気な参加者。じわっじわっと不穏な空気が漂う。
一番最初に人が死ぬシーンは唐突で久々に映画館で驚きに体がびくつきました。映画館の真ん中よりちょっと前方の真正面の席を選んだのを後悔しました。気持ち悪くなっちゃいました。チュロス買ったのにほとんど食べられなかった。元々体調良くなかったのかもしれないですが、心理的圧迫感がすごかった。少しずつ足下から蛇が這って来る感じ。段々と追い詰められていく感じがすごくて、映画館で叫びだしたくなるのを必死に堪えてました。とてつもなくグロテスク、とか下品とかそういうわけじゃないんですが訳が分からないし、危険を察知しているのに『逃げられない』っていう心理が非常に恐怖でした。他の方のレビューにミッドサマーみたいって書いてあったので、へぇ~と思いました。
終始、シェフは得体の知れない怖さと不気味さがあるし、案内してくれる女の人は怖いし主人公の彼氏はずーっと頭狂っててヤバいし配役は最高でした。
殺されるっていう生命の危うさの中で、男性は逃げることを許された時に置いていかれていった女性
陣たちが食事をしながら副料理長を慰めあっているのにはホッとしつつ微笑ましかったです。だけど彼女の一言で絶望するところもまた良かったです。最後は全員死ぬと考え付いた彼女のその気持ちや理由ってなんなのかなって気になりました。
招かれざる客だったマーゴ(主人公)に逆になんか執着してしまうシェフがちょっと不思議だった。フルコースとして完成しないからっていうこだわりなのかもしれませんが。本当は来る予定だった人が来たらどうだったんだろうと思ったりもしました。案内してくれる人が、自分の役目にとってかわられるんじゃないかとマーゴに対して攻撃的になるんですがそれだけなのかな、とかいらない心配をしてしまいました。シェフに対する気持ちへの対抗心とか。
マーゴとシェフのやりとりが最後までよく分からなくて、二人の心理戦が最上級すぎて頭の悪い私には半分も理解できなかったです。招待された客たちもそれぞれシェフに攻撃されるだろう経歴や行動だと思うんですが、もっと深掘りされるかと思いきやあっさりふんわりしていてもっとそこを絡めてほしかったなと残念でした。それで殺す理由にするには甘くないか?と感じたので。昔のスーパースターの愛人みたいな子なんて、学費をローンかどうか聞いてそれが理由なんて軽すぎる、けどそれがすごく残酷で面白いスパイスになってた。殺す理由や死に向かわせる決定打が薄くて曖昧なのが私的には足りないかなぁと、なので星が0.5少ないです。
シェフを取り巻くスタッフたちのシェフを崇めて、命すら放り出してしまう盲目的な姿がとても怖かったです。シェフが手を叩くあれもとても怖かった。精神的な苦痛ですよ。
LiLiCoさんがこの映画観たらお腹が減って……みたいなこと仰ってましたけど、私はこのメニューの料理ちっとも美味しそうに思えませんでした。高級フルコースなんて縁がないからかもしれませんけど、よく分からない品の数々、生き残れるか不安の中の食事なんて喉通らないですよ。でも最後のマーゴがオーダーしたチーズバーガー!あれだけはとっても美味しそうだった。人間て最後に食べるならジャンクなものが一番食べたくなるんだなと思いました。あのような場面になったら私も迷わずハンバーガーを頼みます!それかおにぎり!コースメニューのラストはスモアでそれはめっちゃシュールで面白かったです。みんな死んでいくんですけど、その姿に可愛いと思ってしまった。
最後、マーゴがレストランから立ち去ろうとしたときに一瞬みんなの方を振り向くんですが老夫婦の奥さんが早く行きなさいってジェスチャーがすごく印象に残りました。そういうとき、私も連れてってとか見殺しにするの、とかしてもいいはずなのに。
火柱を見ながらのチーズバーガーはとても美味しそうだったなぁ。
作中、日本のことを二回くらい言ってて『日本人の考えはシンプルだ』と『梅干し』が出てきてそこは嬉しかったです。

調べたらシェフがヴォルデモード卿だと知ってびっくり、更にマーゴの狂った彼氏が大好きなウォームボディーズのイケメンゾンビくんだと知って二度びっくり!

公開日に観に行きましたが、中高年しかいなかったです。明らかに50代以上の方ばかりでした。
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