大ちゃん

カラオケ行こ!の大ちゃんのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
4.5
面白かった!

ボーッと見ていると、
綾野剛カッコよ…ってなるだけの作品。

しっかり見れば、思春期の少年が歌を通して「愛」を知っていく作品。表層にある関西風の明快なテンションとは対象的に、しっとりとじんわりとテーマを伝えてくる良作です。

劇中「愛は与えるもの」という表現が出てくる。
里実が映画部を通じて知った言葉を、愚直に手探りに実行しようとする姿が微笑ましく、それを素直に受け取れる狂児の態度もピッタリである。

ヤクザの世界は知らないし、もちろん良くないものだと思うが、
少なくともこの映画では「持ちつ持たれつ」という名の筋が通った世界で、目的はなんであれ、狂児だけでなく組長以下全員が里実を受け入れていく様には、違和感を遥かに通り越して背筋が正しくなった。

その意味で改めて里実の狂児に与えた愛は、最後には偏見も先入観もない、ストレートなものであり、狂児から跳ね返った愛が見事に「紅」の歌い方に表現されていて美しい。

個人的には、里実の家族が「愛は与えるもの」と心得ていたからこそ、里実本人がカタギとヤクザの垣根をヒョイっと超え愛を与える度胸があったのだと思い、自宅でのシーンも尊かった。

…和田の陰キャ演技には脱帽した。
大ちゃん

大ちゃん