鰹よろし

デウス 侵略の鰹よろしのレビュー・感想・評価

デウス 侵略(2022年製作の映画)
3.0
 突如宇宙のどこかに球体が出現。ある者は未知との遭遇に心躍らせ、ある者はこの世の終わりだと狂喜乱舞したとかしなかったとかで、人類は真理を探るべく調査隊を派遣した。我が名は、デウス...

 神と信者、配信者とリスナー(ブログとフォロワー)。古よりのアナログな布教の賜物とネットの普及により急速に波及した、得体の知れないナニカ(創造論と陰謀論)を崇拝する2つの事象をリンクさせ同義に置いて魅せている。

 昨今人類はインターネットの普及に伴い情報収集能力を拡大させ多大な情報を得られるようになった。今まで声を持てなかった者たちも声を上げられ、一面的な情報に多角的にアプローチすることが可能となり真実を見極めやすくなった。

 しかしそれは真偽が定かではない情報を溢れかえさせ、すぐそこにあった真実を霞ませてはいまいか。むしろ以前より混乱を生み出してはいないだろうか。極々少数の声すらも大きくして見せ、多数派だと思っていた意見が実は少数派だったなんてことは。

 そして一見正確な情報へと取捨選択させているようでいて、信じたい情報に飛びつきやすく、また信じたい情報ばかりを追い求め探してはいないだろうか。

 詰まる所、人類は多大な情報に晒されてはいるものの、結局のところその情報を処理及び理解する能力は向上しておらず、ネットの普及以前と何ら変わりないのでは・・・

 多大なフォロワーの声に晒されたブロガーの末路。信仰とは言わないまでもカーラの心の拠り所だた人物への信用と信頼。上からの命令に忠実な軍人。選択を問われる人類とデウスの正体。

 そしてフラットなあるいは融通の利かない既知と未知の境界が明確なAIの存在をスパイスに、人類及び人間という存在へとアプローチする試みは非常に興味深いものだった。


「スフィア」(1998)...「インフェルノ」(2016)...「ファースト・コンタクト」(2017)...「ANIARA アニアーラ」(2018)...「クリムゾン・プラネット」(2018)...「フィフス・パッセンジャー」(2018)...「2020 世界終焉の日」(2019)...「バトル・インフェルノ」(2019)...
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