けーはち

イコライザー THE FINALのけーはちのレビュー・感想・評価

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)
3.7
昼は温厚な善人、夜は悪を誅戮する必殺仕事人マッコールさん。流れ流れた果てのシチリア島を終の棲家と据えた彼の隣人たちに、悪しきクスリをバラ撒く現地マフィアのカモッラの魔の手が──マフィアの本場シチリアにて西部劇的な類型を下地に置いたイコライザー最終章。光と闇、善と悪、天使と悪魔、聖と俗がコントラストを強調した画は見事にキマッている。かつての「ホムセンの材料で凶器をDIYして秒殺だぜ〜」みたいなケレン味は薄れて落ち着いたエピローグのような風合いだが、やる時は相変わらず徹底的にやる。マフィアのボスに自分たちの捌いている覚醒剤を致死量分飲ませて心臓が止まるまで6分間夜道を市中引き回しにするシーンは、まるでダンテ「神曲」の地獄篇の業に向き合う厳粛さと、シンプルな勧善懲悪の痛快さの両方の味で満たされて何だか笑えてくる。老境に至りワビサビの極まる最強主人公の小さな幸せの結実する安息感のある一本。