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GOのkyのレビュー・感想・評価

GO(2001年製作の映画)
4.7
僕の”映画人生”のスタートになった作品が「GO」であり窪塚洋介さんだった。
今ではたくさんの映画を見るようになったし、こうして書かせてもらっているのだけれど、それも全部含めて今作のおかげ。
在日韓国人というバックグランドを抱えた主人公・杉原を窪塚さんが演じ、僕彼に飲み込まれた。
杉原の抱えていた偏見や差別による葛藤をラストで昇華するのだけれど、これほどの昇華という言葉が似合う映画はなかなかない。
それを実現したのは”痛み”を知り、それに素直に向き合うことができたから杉原の成長だと思う。


あらすじ
在日韓国人の高校生・杉原は朝鮮学校に通っていたが日本学校に転校する。
しかし、父親譲りのボクシングと強気な性格で学校中から喧嘩相手の的になってしまう。
ある日、友人の加藤に招待されたパーティで、どこか陰りのある少女・桜井と出会い惹かれていく。
そんな折、杉原の朝鮮学校時代の友人が殺害された。
それをきっかけに、彼は桜井に在日韓国人という生い立ちを打ち明けるが…。


感想・考察
僕にとって”窪塚洋介”という俳優と「GO」という作品
この作品を書かせて頂くにあたって、まずは僕と「GO」について。僕が今こうしてたくさん映画を見るようになったのも、それについてあれやこれやと書いているのも全部含めて、この作品が始まりだった。つまり、僕の”映画人生”の原点になった作品。これを見て刺激を受けた人はたくさんいると思うし、映画にはそういうパワーがあるんだと気づかせてくれた。

現在、窪塚洋介さんはTVに出ないと宣言している。それは彼の役者、芝居者としての熱量がTVを飲み込んでしまうからだと思う。逆に言えば、TVが彼に飲み込まれてしまう。それほど彼のパワーは強烈。そして、そんなパワーを映画として表現できる俳優だ。実際、僕は彼に飲み込まれた。そして、映画はもちろんファッションアイコンとしても生き方にも影響を受けている。今作では最初から最後まで彼の表現する表情や言動、もう全てといっていいほどに魅せられた。そして、なんといってもラストの雄叫びに僕の心はブチ抜かれた。
彼は役者としてはもちろん、ドラッグの件や飛び降りの件で、一種の神格化された伝説的な存在になっている訳だけれど、僕は「GO」を見たときにそれを感じていた。だからといって僕が彼を崇拝しているとか信仰しているとか、そういうわけでもない。僕が感性が豊とか映画通だとか、そういうのでもない。ただただ、彼のエネルギーを感じて彼に飲み込まれてしまうような感覚を覚えた。飲み込まれると言えば、「空気に飲まれる」とか「波に飲まれる」というから、ネガティブなイメージを持つこともあるかもしれないけれど、そうではなくて飲み込まれて心地よかった。最初に今作を見たときには、その感情をうまく言葉にすることができずに僕は単純に「スゴイ」「カッコイイ」と周りに話していた。
窪塚洋介さんは「言葉はちから」という。それが最近は、ほんの少しだけ分かったような気がする。その気がしているだけかもしれないけれど…。今僕はこの映画を見て思ったことを言葉で、書くことで表現することができるようになった。それが窪塚さんのいう「言葉はちから」をすこーしだけ飲み込めたような気がして嬉しかったりする。


以下ブログにて
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