ENDO

パリは霧にぬれてのENDOのレビュー・感想・評価

パリは霧にぬれて(1971年製作の映画)
4.0
ソフトフォーカスと抒情的な音楽。貨物船に飛び入り乗船。早朝の霧立ち込めるセーヌ川に沿って流れる景色を丁寧に捉えるリッチな映像体験。フェイ・ダナウェイの躁的な振る舞いで安心できない。そういう宙吊りにされる歪なバランスがサスペンス。旦那が中盤で彼女が運転するシトロエン2CVが横転、弟が外に放り出され、引火した車に取り残される姉。誘拐犯は幼い弟に撃ち殺され、"組織"の人間は1度邂逅するのみ。ダナウェイの外で起こる犯罪と、内で起こる実存的不安が並列される。宵闇迫る中、階段を転げ落ちる黄色いフラフープ。忘れられた黄色いマフラーのイメージ。購入した事を忘れ、同じ黄色いドレスがクローゼットで見つかり、動揺して2着とも破り捨てる姿は後年の『愛と憎しみの伝説』を彷彿とさせる。小道具のイエローが鮮烈に脳に焼き付く白昼夢映画。ドゥヴェールが端役で出演。得した気分。普通に好き。
ENDO

ENDO