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ファルコン・レイクのmitoのレビュー・感想・評価

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)
3.7
2023年100本目。
母の友人の住む避暑地へやって来た一家。14歳になった少年バスティアンは友人の娘クロエと再会する。
2歳の年の差ながら、どこか大人びた雰囲気のクロエに惹かれていくバスティアンだが…。

どちらも早く大人になりたい衝動に駆られている共通項がありながら、年の差による年齢の壁が圧倒的に高い、14歳、16歳という年齢設定が絶妙。

バスティアンは年齢的にも思春期を迎え性的にも異性に興味を持ち始める。そんな好奇心も作用してクロエに惹かれるが、彼女は既に高校生のように夜遊びを覚えていて、異性とも一段上の付き合いをしている。
そんな彼女と釣り合うために必死で大人ぶるバスティアンだが、どうしても埋められない壁が要所に垣間見える。

ただ、クロエはクロエでバスティアンから見たら大人びて見えるが、更に上の大学生世代から見たらまだ幼く、そもそもまだバスティアンと同じく親の庇護を受けている年齢。
独り立ちが許されない現状やそんな大人な付き合いでしか繋がり合えない異性関係に苛ついている。

そんな「早く大人になりたい」という共通項で互いに惹かれ合っていく2人の会話に、時折出てくる死を連想する内容が多数使われるのが印象的で、ただのひと夏の恋で片付かない感が出ているのもこの要素によるものかと。
舞台の湖の雰囲気も相まって、湖浮き世離れした空気感が続き、そんな要素は余り無いにも関わらず少しジュブナイル感も持ち合わせている。

死を仄めかす要素は、ラストにも大きく影響を与えていて、これまでのやり取りの伏線を回収する展開になっていたこともあり、個人的には評価しているが…。

どうも、この結末自体は映画オリジナルの展開だったみたいで、原作リスペクトの人の否定的な感想もちらほら。
確かにかなり急な展開で自体が急転するので、少し強引さを感じはしたが…。
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