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オッペンハイマーのmitoのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8
2024年30本目。
色々と物議を醸していたクリストファー・ノーラン監督が描く、原爆の父ことオッペンハイマーの半生を伝記的小説の映像化。

すっかり忘れていて、レビューをすっ飛ばしたが、今年の、映画鑑賞の中で重要な作品の一つなのは間違いない。

彼が如何にナチスの先行に対して対抗すべく核爆弾開発に邁進したかと同時に、徐々に苛まれる人殺しのための兵器の生産に携わる軌跡を経たかを描く。

日本側で議論となった「原爆描写や加害者描写が弱い」という指摘に関しては、見せない演出は機能していたと思うし、娯楽作品の範疇では最大限の表現は頑張っていたと思う。
まあ、オッペンハイマーが現地で光景を見た訳でもないので、ここを強調すると胡散臭さが増す感もあるので、これくらいが限界なのでは。
ただ、核実験後の白昼夢で被害者の溶ける肌を見てしまうシーンだけは何故抽象的に描いたかは疑問。

現在視点の裁判のシーンは理不尽さにドラマ性を感じながらも、過去視点の原爆開発シーンに比べると火力不足。
決して演技は上手くなかった訳では無いが、とりわけ突出した演技力を感じた訳でもなかったので、正直ロバート・ダウニー・Jrが助演男優賞を獲得したのは驚き。

クリストファー・ノーランの監督作品の中では大分トーンが落ち着いているのも特徴的。
とは言っても、過去視点はプロフェッショナル感もあったり、サラッと偉人レベルの学者が登場したりとワクワク感を感じる要素が多々あり楽しめた。

そういう意味では、凄い楽しい部分、イマイチ盛り上がらない部分、両極端な作品かも。
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