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サハラのカフェのマリカのpepoのレビュー・感想・評価

サハラのカフェのマリカ(2019年製作の映画)
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純粋なドキュメンタリーではないけれど、虚実を織り交ぜてスクリーンを流れていくのは確かに人の暮らす“時間”だった。
寓話的すぎる訳でもなく現実の処世的な部分を注視するばかりでもなく、場所や人の暮らしを「あるがまま」に映画という枠で掬って観せるには、独特のセンスや機微が必要なのだろうと思う。アルジェリアの新鋭監督が描き出したその「本質的な場所」へはこちらも自然体で入っていけた。

親戚の迎えを頑なに「まだその時じゃないから」と断わって、高齢ながら町での仕入れも一人でこなすマリカ。
選んで好んで居た訳ではない、ただここしかなかっただけ。それが最適ではなかったとしても、去るには自ら心を決めて時を選びたい ── 叶うものならば。
地上のあらゆる場所はそういうもので、この世というのはなべてそういう処なのかとも思う。
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