プププ

野いちごのプププのネタバレレビュー・内容・結末

野いちご(1957年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

本当に好きだ…
特に何か特別なことが起きたわけではない、むしろ主人公の老医師にとっては空虚さのようなものが押しつけられているのにこの暖かさはなんなんだ…

老医師の自身の空虚さや後悔・死への不安といった潜在意識が夢の中で、厳格で突き刺すようなな白黒の映像で現れる。
その一方で、子供時代の追想は柔らかな光が飽和する世界として表れる。
一見対照的だけど、もう先の長くない老医師にとってはどちらも自分を見つめ直すための険しい道のようなものだ。
そして、現実でも息子の嫁からのセリフ、過去の自分を見るような夫婦。
最後の授与式の参列は死や葬式を思い起こさせるようで、老医師のこの先は何も起きないだろう。恐らく息子夫婦の関係性を変えることもできない。
でも、これらの試練を通じて老紳士の中で起きる前向きな変化、決して映画内で明確に描かれることはないんだけど、その内なる暖かさのようなものが本当に素晴らしかった…
プププ

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