こなつ

レジェンド&バタフライのこなつのレビュー・感想・評価

レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)
4.0
この作品は、魔王と呼ばれた織田信長と蝶のように自由を求めた正室濃姫が激動の30年を共に駆け抜けた夫婦の物語だった。

戦国ファンには絶対物足りないだろうと思うほど合戦シーンがほとんどなく、大うつけと言われた信長が、濃姫によって自分の優しさや弱さに気付いていく様子が丁寧に描かれている。

尾張の織田信長は、敵対する隣国・美濃の濃姫と政略結婚をする。濃姫は、男まさりで信長をばかにして従わず、最悪の出会いだった。しかし、今川義元の大軍勢が押し寄せ、絶望的だった信長を濃姫が励まして勝利したことによって、二人は天下統一へ歩み出すのだったが、、、。

ヤンチャで問題児ではあるが、野性的で魅力ある信長をイケメン木村拓哉がカッコ良く演じている。太刀さばきを堂々とこなし、凛とした佇まい、美しい濃姫を演じた綾瀬はるかが素晴らしい演技で魅了した。

桶狭間の戦いの戦術を信長と濃姫で話すシーンはなかなか面白かった。敵の急所は何だと思う?みたいな会話は普通の夫婦の会話そのもの。こうやって二人の夫婦としての信頼が培われて行く様子が、本能寺で死を前にして信長が濃姫と逃げる夢を見たことにも繋がっていったのだろう。

ずる賢く、腹黒い「狸親父」と言われた徳川家康の特殊メイクにもすっかり騙されてしまった。やっぱり狸だった?目以外全て特殊メイクなんて驚く。エンドクレジットで流れるまで誰が斉藤工だと気付いただろう。安土城に招かれた家康の姿など、体型はもとより、所作のひとつひとつを後から思い出しても、まだ首を捻るほど別人だった。

濃姫という人物のエピソードなどはあまり知らなかったので、信長との夫婦愛と共に楽しめた作品だった。
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