まや

四月のまやのネタバレレビュー・内容・結末

四月(1962年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

前から気になっていたので観られる機会があって嬉しい。セリフのない恋愛劇。面白かった。

セリフがないので実際の物語の核が掴みにくく、都市の階段を上り下りする行動や、家具をひたすら運ぶおじいちゃん達など、きっときちんと意味があるのだろうが、どういう意味を持っているのかまでわからなくてまだまだ修行が足りないなと思った。

男女がキスしようとして邪魔が入るのはクスッと笑えた。その後2人で木の下でやっと2人きりになれるシーンはすごく美しくて、広い空となだらかな丘、そこに立つ一本の大きな木。すごく絵画的で美しかった。

そこから2人での暮らしが始まるのだが、この2人がキスするとその愛で電気がついたり、水が出たり、火がついたりする設定が面白かった。次第に家具が増えていき、2人での生活が当たり前となるとともに喧嘩が増えていく。言い争うシーンでの服の入れ替わりやカットの入れ替わりが目まぐるしく2人の関係を効果的に表していた。また、キスしても水が出なくなるのも良い。こんな風にすれ違いを描くのはすごく面白いなと思った。

最もわかりやすいのはベットとソファ、それぞれに男女が座るシーン。どちらかが方向を変えるとどちらかもそれに合わせて違う方向を向く。全然同じ方向を見ていないのがよくわかる。

その後、2人で家具を窓から落として捨てて、昔の記憶がスロー再生され、切り倒されてしまった木の下で2人で抱き合う終わり方。すごく素敵な終わり方で記憶に残る映像だった。
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