松井の天井直撃ホームラン

女経(じょきょう)の松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

女経(じょきょう)(1960年製作の映画)
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☆☆☆★★★

第1話 「耳を噛みたがる女」 ☆☆☆★★
監督 増村保造 主演 若尾文子

増村=若尾の黄金コンビによる安定の面白さ。
男を踏み台にしようとする若尾の手練手管のしたたかさよ。
田宮二郎が登場するも、特に目立つ役柄でないのが残念。その代わり…と言って良いのかわからないが、若尾の同僚役の左幸子が強い印象を残す。

第2話 「物を高く売りつける女」☆☆☆★★★
監督 市川崑 主演 山本富士子

3っの話の中では1番の意欲作と言える。
冒頭からゾクゾクとさせる山本富士子の色っぽさが凄い。そしてこの市川演出を堪能する喜び。
だがしかし…後半は著しく失速してしまったのがちょっと残念でした。

第3話 「恋を忘れていた女」☆☆☆★★★
監督 吉村公三郎 主演 京マチ子

京マチ子が喋る生きた京言葉の一つ一つが心地良い。(寧ろ関西弁と言うべきか?関東人にはその違いが今ひとつ分からないところ。)

彼女が行く先々で出会う人達との交流等から。昔は美人芸者として先斗町を闊歩していたであろう事が、台詞の端々から伺える。
その話し振りや頭の切り替えの早さで、周りに対する気配りの的確さも伝わって来る。

彼女が昔を思い出し、根上淳との若い日々を再び…と感じる話自体は。オムニバス形式の短編だけに、今ひとつなのですが。
流石にメロドラマの巨匠吉村公三郎監督だけ有り、ワンシーンワンシーンの画面構成が、実にガッシリと作られています。これにはエンドクレジットの順列から、多分撮影監督が名カメラマン宮川一夫さんではないか?と思えるのですが。

ワンシーンだけ出演の中村鴈治郎と京マチ子の台詞のやり取りに笑う。
たったワンシーンのみで画面をさらう中村鴈治郎おそるべし(´⊙ω⊙`)

エンドクレジットのアニメーションがまた素晴らしく。ヤマハはその昔《山葉》で在った事を知る。

2018年2月3日 新・文芸坐