kanaco

スマイルのkanacoのレビュー・感想・評価

スマイル(2022年製作の映画)
3.5
人間が満面の笑顔で自殺をするという怪異を暴くため、巻き込まれた精神科医が奔走するスマイル・ホラー。死の予兆となる不気味な笑顔は視覚的なインパクトが十分だしキャッチー。主人公が気の毒で同情を禁じ得ないストーリーはしっかりめ。ジャンプスケアが多いなど気になる所はあったが楽しめた😄😄😄(139文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

◆あらすじ◆
精神科医をしているローズ。ある日、新しい患者が突然に目の前で〈笑顔〉のまま首をナイフで切り自殺してしまう。その日から〈笑顔〉がトラウマになってしまったローズの身の回りで説明不能な出来事が次々と発生。そして存在するはずのない〈笑顔〉のゴーストが何度もローズの前に現れる…。自分に何が起きているのか…。周りに信じてもらえぬまま、憔悴しながらもこの怪異を調べ始めるが…。

❶人間が満面の笑顔で自殺をする怪異を暴くため、精神科医が奔走するスマイル・ホラー

初めてタイトルを聞いた時、モーニング娘。の『サマーナイトタウン』が脳内を流れ始めたのだがそんな映画じゃなかった(当たりまえ)。次に浮かんだのは大塚愛の『SMILY』だったがそういう映画でもなかった(それもそう)🥳

「人間が満面の笑顔で自殺をする」という不可解でショッキングな現場を目撃してしまった精神科医が、その怪異と自分の過去に立ち向かうホラー作品。本作のタイトルでありアイコンとなっている〈スマイル〉が散りばめられていて視覚的なインパクトは十分だし、やはり笑顔なので不気味であると同時にキャッチーさがある。

本作は「怪異の仕業か、精神的に追い詰められた人間の幻覚か」ベースだが実際に怪異が存在し、主人公も自分が見たものを素直に受け入れる系女性なので受容は早い。恋人、姉妹など誰にも信じてもらえないまま憔悴し、狂気に満ちた表情を浮かべながらも1人で立ち向かうストーリーになっており、展開がしっかりしているように感じた。この孤独な戦いは仕方ないとは言え、あまりにも気の毒に見えてくるので同情心から応援しやすい。

また、設定や演出が比較的近い時代に制作されている他ホラーで見たことがあるようなものが多い印象を受けた。これは悪い意味ではなく、それぞれのホラーの象徴的な設定やシーンをちょっとずつ抜き取って織り込んでブレンドし、それを王道なストーリー展開に乗っけている感じ。画面がグルンとなるのなんて「何回アリ・アスターやるのさ」って笑ってしまった。

❸不満なところもちょっとはあった…😂

ジャンプスケアだらけで、ジャンプスケア不要と思われる場所にまで被せてくるため少々腹が立つ。音でビビらせるポイントを無闇に設置するのはいかがなものか。

怪異〈スマイル〉は基本的に憑りつかれた人の知人の姿で現れて、不気味な笑顔を見せ襲ってくる。そのため一見は普通の人間の姿で現れる。主人公が自分にかかった〈スマイル〉の呪いを解こうとするため〈スマイル〉に関する事件を調べていくのが本筋だが、結局のところ〈スマイル〉が「何か」は明かされず、その代わりにモンスター的な真の姿が登場する。

私はこれが逆(=発生理由などは分かるがオリジナルの姿は明かされない)の方が良かったな~。あまりにもモンスター的でどこかで見たようなそのデザインは、スーパーナチュラルな存在が一気に物理的な存在になったように感じ、チープにも思えた。一応モンスターもスマイルするが、人間のスマイルに比べたら謎を秘めたような不気味さ・怖さが半減。というか、モンスターになってもずっとスマイルしていればいいのに、数秒しか笑ってないし…(真剣顔なのかい!)。モンスターになったとたんに〈スマイル〉の良い部分が失われてしまった気がして…。

「もっと自分の笑顔に誇りを持って!! (๑و•̀ω•́)و」

…って画面に向かって心の中で呟きました(何の話だ)

☻♥🐝「〈スマイル〉という恐怖がキャッチーだし、お話も展開していくので全体的に好みでした。イットフォローズとかIT、フッテージ、テイキングデボラローガンなど、その帯ランクのホラーが好きな方には良いかもしれません。私普段、よく鏡に向かってスマイルしていますけど、もしかしてこの行動って端から見たら不気味??ってローズを見ながら思いました(笑)あと、主人公の面影にケヴィン・ベーコンがちらつき過ぎて凄かったです」
kanaco

kanaco