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エゴイストのyadokariのレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
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鈴木亮平が光源氏に思えた。今読んでいるからということもあるのだが、光源氏は愛人に援助しながらも孤独を抱えてしまう。それは月の皇子だからなのだ。その意味で鈴木亮平が高級マンションの部屋で一人ちあきなのみの「夜へ急ぐ人」をカラオケで歌うのはナイス演出だと思った。

結局鈴木亮平の優男は援助交際でしかなかったのだと思う。それはヤングケアラーの問題なのに、浩輔が援助するのは根本的に間違っていた。それが「エゴイスト」というタイトルに現れているのだと思う。

龍太は浩輔のためにいい子でいなければならなかった。それはキツイと思う。死んだ理由がよくわからなかったが過労死だと思う。頑張りすぎる青年なのだ。実際に母親のケアを彼がする必要はないのだ。でもそれは浩輔も逃れられないように仕向けてしまったのだと思う。逃げることも出来ずに。

浩輔の孤独は仕方ないものだろう。結局人間は一人で生きていくしかないのだ。ただ人は愛があると錯覚する。(2023年3月2日)
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