鉄生

女囚さそり けもの部屋の鉄生のレビュー・感想・評価

女囚さそり けもの部屋(1973年製作の映画)
3.8
女囚さそりシリーズ3作目
好きなんだよなあこのシリーズ
梶芽衣子氏主演のシリーズが全4作あるが、本作品はシリーズのなかでも一番好き
4作品のストーリーの繋がりは希薄なのでこの作品から観ても問題は無い

冒頭

ナミ(梶芽衣子)を追う刑事・権藤(成田三樹夫)は地下鉄の車内で彼女を追い詰め、自身の腕と彼女の腕とを手錠で繋ぐ
しかしナミはなんと隠し持っていたドス(短刀)で、権藤の腕を切断!

切断した権藤の腕は手錠で繋がれたまま
それをブルンブルン振り回しがらナミは街中を逃亡する

このアングラ感…
最高である

きっとゲリラ撮影だったんだろうなあ…
皆振り返る
そりゃそうだ
キレイなお姉ちゃんが返り血に染まったまま腕ぶら下げて走ってんだもん
シュールにも程があろう

ナミはユキ(渡辺やよい)という女性と仲良くなる
その出会いの場面も凄まじい

ユキは自分の身体を売って日銭を稼いでいる
いつものように墓地近くの草むらで商売をしていたユキは、ガリッガリッという物音に気づいて起き上がる
そこには逃亡中のナミがいた
ナミは墓石の縁で腕がぶら下がったままの手錠の鎖をガリガリと削り切っていたのだ

このアングラ感…
至福である

劇中、ナミはほぼほぼ喋らない
仲良くなったナミとユキの間にもほぼ会話はない
交差する視線にすべてを語らせる
脅されて友を権力に売らざるを得なかった弱い女ユキ
決して屈服することのない強い女ナミ
ナミの目は常に孤独な反逆者の目だ
この目に
私は惹かれてならない

梶芽衣子氏の目力が素晴らしい
目で演技をしている

ストーリー的にはアングラの極
しかし彼女の演技は本物である
鉄生

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