社会のダストダス

カムイのうたの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

カムイのうた(2023年製作の映画)
3.3
無知から生まれた偏見。かなり胸糞悪い描写が多いので、それなりに心の準備をしてから観るべし。

奇しくもカムイがタイトルに入る映画が同時期に公開。『ゴールデンカムイ』はバリバリのエンタメ作品で、その後に観る本作はアイヌ文化についての理解をより深める作品になる…と言うほどではなかったかもしれない。

アイヌ民族が北海道の開拓において厳しい差別に合った背景に関してはかなり生々しい描写なものの、どういう生活や文化だったのかについてはむしろ前述の『ゴールデンカムイ』のほうが説明的だったように思う。オソマ(=う○こ)とかいろんな単語教えてくれるし。

吉田美月喜さんが演じるテルと加藤雅也さん演じる兼田教授は実在の人物がモデルとなっている、名前は変更されているけど劇中の経歴はほぼそのままの模様。ずっと沼に沈んでいくような気持ちになる展開が続くけど、お二人を初め役者さんたちの演技は本当に良かった。

今から100年くらい前のことを題材にした作品で、去年観た『福田村事件』みたいに出来事を風化させずに映画として多くの人が関心を持つ形で記録に残すという意味では役割を果たしていると思う。

でも人物名とか変えるなら、もっとイケてるストーリーにしちゃって良かったとも感じる。