三浦透子さんの初の単独主演作は、他人に恋愛感情を抱けないヒロイン・蘇畑佳純が、周囲と向き合いながら自身を見詰める様を描いていて、押し付けの人生や幸せではなく、周囲に理解されなくても自分らしく生きようとする姿にエールを送っていて共感を覚える。
30歳の蘇畑佳純は物心ついた頃から恋愛がよく分からず、いつまで経っても恋愛感情が湧かない自分に不安を覚えながらもマイペースに生きてきた。
大学では音楽を志すも挫折し、現在は地元のコールセンターで苦情対応に追われる日々を送っている。
救急救命士の父は鬱気味で休職中で、 バツ３の祖母は思ったことをなんでも口にして妹と口喧嘩が絶えない。
その妹が結婚・妊娠したこともあり、母からは頻繁にプレッシャーをかけられ、遂には無断でお見合いまでセッティングされてしまう。
そこで彼女が出会ったのは、結婚よりも友だち付き合いを望む男性だった。
だが、彼女の恋愛したいと言う気持ちが湧かない、だからといって寂しくないし、一人でも十分幸せだということを周りは理解してくれない。
そんな佳純を、偶然再会した同級生であり、元AV女優・真帆がキーパーソンとして影響を与えていく。
更に終盤では彼女の新しい一歩を後押しする人物も登場し、爽やかな印象を残す。
佳純のように恋愛感情や性的欲求が元から無い人だけでなく、仕事や生き甲斐を優先し、結婚したり、家庭を築くことを選ばない人に対し、本作は笑いを交えて温かな眼差しを向けていく。
