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そばかすのcharoのレビュー・感想・評価

そばかす(2022年製作の映画)
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Filmarksオンライン試写会にて。


結婚をしたり、恋人を作ったり、家庭をもったり、
人を好きになることだけが、人生の全てじゃない。


今作は、他者に対して、恋愛感情を抱かない、
“アロマンティック“や、他者に対して、性的欲求を
抱くことが少ない、または抱くことのない、
“アセクシュアル“である女性が主人公の物語。


邦画でアセクシュアルが描かれた作品を見るのは、
今作が初めてで、また劇中では、この言葉を使わずに、
日々が描かれ、どんなセクシュアリティを持つ人でも、
仕事、恋愛、年齢、といったあらゆる視点や感覚に、
共感したり、寄り添っている作品でもあった。


様々なセクシュアリティの在り方について、
以前よりも、認知することや、受け入れること、
自身が意思表示することの自由が、高まりつつある、
世の中ではあるけれど、それぞれの性の認識は、
周りを見ていても、まだあまり浸透していない気がする…


作中にもあるように“好きな人いるの?“や、
“彼氏できたの?“など、普段よく耳にする会話も、
疑問を抱く人が、世の中にはいるということ。
(自身も最近はこの質問に違和感を抱くようになった)
その他、価値観、感覚、考え方に対しても、
自分だけでなく、それぞれみんな違うということに、
もっと柔軟になっていきたいと、改めて実感した。


三浦透子さん演じる佳純が、自分の性認識に、
戸惑いを抱えながらも、自分らしく生きていこうとする姿。
前田敦子さん演じる真帆の、情熱的で、
自分の考えを曲げないまっすぐな性格。
対照的な2人が、お互い刺激し合いながら、
共に過ごしていく、そのバランスがとても魅力的だった。


また伊藤万理華さん演じる佳純の妹、
実家で暮らす、父、母、祖母が存在することで、
それぞれの価値観や、感覚のズレが生じたり、
“シンデレラ“の例え話や、紙芝居からの、
保護者と子供の反応、この一連の流れが、
まさに、現代社会の縮図のようで、とてもリアルだった。


一方、北村匠海さん演じる天藤との会話では、
同じ考え方を持つ人との出会いから、
これからの未来へ、希望を感じられるシーンでもあり、
「そばかす」通して、さらに、様々な生き方が、
世の中へ広がっていくのではないかと感じられた。


自分のアイデンティティについて考えたり、
価値観を得たり、会話が生まれたり、共有したり、
そのきっかけや、第一歩となりそうな作品でした!
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