ゆき

そばかすのゆきのレビュー・感想・評価

そばかす(2022年製作の映画)
3.9
そばた かすみ

周囲の期待に応えるという義務感。
「世の中ってそういうもの」という妹の一言に、世論が集約されている気がした。
アセクシャルという組み分け。“同意見”だけでは本質は見いだせない。
相手のリアクションを以て返す言葉も変わっていくから、家族も含めて表に出す自分も必然的に変わる。
「コミュニケーションの解像度」を大事にしていたという監督・玉田さん。
玉田さんの手掛ける作品が好き。今作の脚本も玉田さんだったらどういう言葉の選定をしていたのかな?とも思った。
物語が進むにつれてぶつかる姉妹の本音。泥臭いやり取りや父親との素朴な会話のキャッチボールも愛おしかった。おばあちゃんが最高。
ちょっとした玉突き事故みたいな可笑しい悔しいアクシデントも秀逸。
何気なく一緒に笑えるだけでありがたいんだ。日常に散らばる違和感から逃げ出したくなるときも、ちょっと前を向けるように背中を押してくれる展開の一作でした。
羊文学・塩塚さん提供の三浦透子さんが歌う主題歌がとても心地よかった。
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「好き」という恋愛感情が湧かないまま30歳を迎えた佳純。夢を諦め地元に戻ってからは母親から「結婚」へのプレッシャーがかかる。無断で組まれたお見合いである男性と出会うが。
ゆき

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