『僕の好きな女の子』の玉田真也監督作品。
アセクシュアル、アロマンティックの主人公傍田佳純はチェリストになることを諦め地元でコールセンターの仕事に従事していた。
ずっと恋人がいないことを心配した母親にある日勝手にお見合いをセッティングされる。
大好きな映画だけどモヤモヤは多い。
鑑賞中は面白いので理解しているつもりになって観てしまったけれどアセクシュアル、アロマンティックについてもう少し細かく描いてほしかった気もする。
もっと説明しろと言うわけではないのだけど佳純が物語の中でとても魅力的で応援したくなる主人公であることがアセクシュアルについてもっと知りたいという気持ちにブレーキをかけられている気もする。
何というかここまで人として素敵なのだから他者に対して恋愛感情とか性的欲求が沸かないことってそんなに気にしなくても…と誤解してしまう。
勿論彼女の生きづらさは前半から描かれていて好きな男のタイプを聞かれて困ったり相手から好きになられても応えられないから困るというのは分かる。
しかし三浦透子が上手すぎるというか自然すぎて、まだまだ自分が理解できていないはずのアセクシュアルについてすんなり入ってきてしまいこれで良いのかなと思った。
この愛すべきキャラクターを観て安易にマイノリティとかマジョリティとか関係なくその人それぞれ！と思考を止めない様にしたいと思った。
じゃあどう描いてほしかったんだと言われると答えられないのだけれど。
難しい。
しかし佳純は超好きな主人公。
最近疲れているのか、若い人が自分のアイデンティティと向き合ったり今を精一杯生きている姿を観るだけで泣けてしまう。
うつ病で休職しているお父さんとのちょっとしたやり取りとか前田敦子演じる元セクシー女優の同級生との友情も涙。
このお父さんの体調の良い時と悪い時の波がめちゃくちゃリアルで驚いた。
こういうのちゃんとやってる所も凄く好感が持てる。
逆に前田敦子のクソ父親の方はあらら…と思う残念な描き方かと思ったけどこういう人もいるのだとニュースなど見て確信。
佳純の実在感がとてつもなくて彼女や彼女と関わる人達が生きている世界が愛しい。
アセクシュアルをモチーフとして扱う際にこれが正解かなんて分からないけど凄く好きな世界観だった。
『僕の好きな女の子』は奈緒✕ニット帽という殺人的なアイテム使いだったけどこの三浦透子×白シャツも最高。
一番引っ掛かった所はネタバレ太郎になるのでコメント欄に。
