ななもん

そばかすのななもんのレビュー・感想・評価

そばかす(2022年製作の映画)
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シンプル辛いのと共感えぐいのとで涙止まらなくて、2回に分けて時間空けて観た。

恋愛することが当たり前じゃないし、誰かを好きになったりしない(できないっていう言い方が嫌。するかしないかっていう話だから。さらに言えばするしないの二択でもない)ことを、わたしはずっと誰かに許してほしかったんだなと思った。

まず三浦透子がめちゃめちゃいいのは前提なんだけど、主人公が周りから理解されなくて、恋愛/結婚しないことがおかしいこと、不幸なことだとかって価値観をぶつけられて、それでも終始前向きだったこととか、自分が選ばなかった道を選んだ友達のことを素直に許して祝福できたりとか、強かった。

恋愛するつもりがないって言ってたお見合い相手とのやりとりとか、妹にレズビアンなんでしょって言われるところとか、もう涙止まらなかったけど、
なんでそんなに全てが恋愛に結び付けられて、男女でないといけなくて、“普通”じゃないことも受け入れてあげるよ、許容できるよっていうスタンスなの?と思ってしまう。
そんな世界への怒りとか感じてきたことをひっくるめて、この作品がわたしを許してくれたように感じた。どこかに同じように思ってる人が生きていてくれれば、わたしもそれでいい。


追記:
LGBTQ+で映画とかドキュメンタリーを通して取り沙汰されることの多くが同性愛で、最近はトランスとかも増えてきたけど、それでもまだ認識されていないマイノリティの中のマイノリティがいると思っていて、今回はそんな場所に光を当てた作品のように感じて、個人的に救われた。

一方で取り沙汰されるようなことでも、特別に扱われることでもなくて、当事者からしたらまさに作中にあった「それがわたし」だから、いつかこういうふうに映画で扱われることすらなくなってくれたらとも思う。

どこにいっても誰といても、相手から見た自分のアイデンティティに“女”が含まれていることが嫌で仕方なかったし、どうしてただの人間と人間になれないの?と思っていたけど、そういうときに“そばたかすみ”を思い出したい。
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