足拭き猫

はだかのゆめの足拭き猫のレビュー・感想・評価

はだかのゆめ(2022年製作の映画)
3.7
母役の唯野未歩子さんのトーク付きで。

前情報なしで行って話が全然分からず、これは理解するものではないんだと途中から気付く。終盤まで季節も不明、稲がかなり黄色いのに木々の緑は生き生きとしており時間の感覚がバグった。

母を亡くした監督がその想いを映画にした。映像が残っており、洗濯物の干し方が妙に大変そうだなと思ったらそれは母がしていた干し方をそのまま演じたのだと。音の設計は「EUREKA」の菊池信之が綿密に設計し、海も河もそばにあるかと思いきやそうではないらしいし、雨にかき消されるか細い母の声も意識的なもののようで良い音で聴くのが大事な作品。

一番は、実のおじいちゃんがおじいちゃん役で出ており、その朴訥とした喋り方や土を耕す姿が愛おしく、自分も家族の映像を残しておきたくなった。ラスト生きている者と死んでいる者が入れ替わって心に重しが置かれ、浦木元空の超絶伸びやかな声が響き渡る。