おどろきの白鳥

ハントのおどろきの白鳥のレビュー・感想・評価

ハント(2022年製作の映画)
3.0
これ、1980年代韓国の歴史と国家体制知らないと、まったく面白くないはずですよ。
粛軍クーデターによる、韓国の軍事独裁体制と、国家保安局によるナチやKGB並の「疑わしきは逮捕して拷問死」時代という基礎知識が最低でも必要で。
さらに、光州事件、北朝鮮パイロット亡命事件、ビルマ・ラングーンテロなどの事件を把握してないと、虚実入り混じったドラマの面白味は伝わらず、客が置いてきぼりになるのではと心配に。
その知識があった上で、作中ビルマから、何故いまタイ(バンコク)に変えられていたのか、最近の国際事情まで考えられる人なら楽しめるかも。

あの時代の韓国で、政府側の人間には(もちろん北朝鮮にも)、他国から見たらどこにも正義はなかったから、誰に感情移入していいかわからず。

たしかにシナリオ的な練り込みはすごく、二転三転どころか二十転三十転はする全く読めない展開ではあるので、それを楽しもうと思ったのだが……
途中、日本(大阪)での脱北亡命ミッションで、市街路上での南北諜報機関によるド派手な銃撃戦なんて、あまりにリアリティのないシーンがあったため、シナリオを楽しむどころじゃなくなり。
瞳に光を失った状態で、呆然としているうちにラストを迎えましたとさ。

あと、主役2人が似た系統の顔で、アクションシーンになるとどちらが誰かの見分けがつかなくなるのも、作品としてマイナスに感じました。