名波ジャパン10

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けの名波ジャパン10のレビュー・感想・評価

4.2
ニューヨーク・タイムズの2人の女性記者がハリウッド大物プロデューサーの性暴力を暴くまでを再現した実話に基づく作品。主役が女性2人である他、監督、脚本家も女性で、女性の視点が貫かれた作品です。実名を明かして告発した女優達も本人役で登場します。
大統領候補だったトランプによるセクハラを告発する報道に対して、告発した被害者への卑劣な嫌がらせ、そして、トランプの大統領就任。女性の告発そして報道の無力さを描くところから映画は始まります。その諦め感・無力感を打破し、被害者の女性達に口を開かせた女性記者の執念が現在の #MeToo運動に結実した訳です。大きなドンデン返しもなくストーリーは展開しますが、女性達それぞれの苦悩がスクリーンから伝わってきて緊迫感が途切れない作品となっています。女性記者の主婦としての日常生活が丹念に描かれているのもあえてスーパーウーマンとして描こうとしなかった女性の視点ならでは。
ニューヨーク・タイムズの編集長やデスクがあまりにも格好良すぎることが、難点といえば難点。カッコ良さに何度快哉を叫んだことか。