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SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのNAOMIのレビュー・感想・評価

4.0
2017年。数々の名作を手掛け、ハリウッドで“神”とも呼ばれた映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの、長年に渡る性的暴行事件を、ニューヨーク・タイムズ紙が報道した。

その報道をきっかけに、女優や女性スタッフなどの被害者が次々に被害を告白。

そして次第に業界や国を超えて、世界中の性犯罪やセクシャルハラスメントを告発する #MeToo運動へと繋がった。
ワインスタインは失脚し、2019年に逮捕・収監された。

この映画は、そのワインスタイン性暴力事件を報道したニューヨーク・タイムズ紙の女性ジャーナリスト2名にフォーカスした社会派ドラマ。


”女性に対する性暴力”という題材に限らず、ジャーナリズムで戦う、ということの大変さと力強さを感じられる。

大きな権力を持つ人間や組織を告発することの難しさ。被害者のリスク。報復の危険性。
それらを感情的ではなく、とても淡々と描いていて、良い。

立場や権力を盾に性暴力を働き、周囲の人間を使って卑劣な隠蔽工作。
被害者たちは夢や生活のために泣き寝入りしたり、口封じされたり。

アメリカに限らず日本でも芸能界・業界にはこういう風潮はあると思うし、現に最近、MeTooの影響で国内の俳優や監督などが告発されてたりする。

この映画を見て考えさせられたけど、私自身、MeTooに対する考えはめちゃくちゃ複雑なものがある。

「お前みたいな女がいるから男がつけあがるし、被害が減らないんだよ!」
って言われても仕方ないような考え方を持ってる部分も自分で自覚しているし、そのへんの価値観はちょっと歪んでるかもしれない。

ただ、時代も変わってきてるし、今後ますますセクハラが規制され、女性が生きやすい世の中になっていくのは良いことだ。
(女性から男性に対するセクハラもあるが)

でも本当に気持ちは複雑で、あまりにやりすぎると、漂白剤ぶっかけたようなつまらない世の中や作品ばかりになっていく気もするし。ムズイね。
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